認知症になる前にできること

認知症発症者数は、2012年462万人(65歳以上の15%)でした。厚生労働科学研究の「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」 )によると、2025年には675~730万人(65歳以上の15~19.9%)になると推計が出されています。糖尿病患者の増加・高齢化により’12年の15%から上昇して最多19.9%になる可能性もあるという予測されています。これは、全人口の5.5~6.0%。これを2012年人口は総務省統計局HPより、2025年人口は令和元年版高齢社会白書の『高齢化の推移と将来推計』の数値と合わせて表にしてみました。

つまり、2025年には、赤ちゃんから高齢者まで全体の18.2人~16.7人にひとりは認知症ということになります。今後の推計はこちらです。

平成29年版 高齢社会白書

認知症の発症は、年を重ねるほど、罹患率が上がります。


認知症はじめの一歩 ご本人、ご家族のための教室テキスト より
https://www.ncgg.go.jp/monowasure/news/documents/0511-5.pdf#search=%27%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E5%88%A5%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E3%81%AE%E5%89%B2%E5%90%88%27

国内の認知症発症者が保有する金融資産は、2015年度末時点で、推計約127兆円。家計金融資産全体の7.2%に及んでいます。2030年度末には215兆円。家計金融資産全体は約2070兆円の見込みなので、10.4%を占めると試算されています。認知症になったと金融機関等が把握すると金融資産は詐欺や横領などの犯罪や口座の不正使用に巻き込まれて財産を失うのを防ぐために凍結されます。

認知症を発症したら、法定後見人を家族・親族あるいは、弁護士などの専門家を家庭裁判所で選定してもらいます。認知症の症状により、本人の意思は聞いてもらえない場合も多々あります。

判断能力がしっかりしている時に、将来自己の判断能力が不十分になったときに備えて、自身が信頼できる人を後見人に選定することができます。これが、任意後見人です。後見事務の内容も契約し、公正証書にします。この任意後見人の選定時期についての調査があり、この契約時の平均年齢が80歳という政府の調査結果が昨年末発表されました。もっと早くからリスクに備える方が効果的です。

家族信託といい、判断能力がしっかりしている時に、家族・親族を受託者として財産管理を任せる仕組みもあります。

金融資産はもちろん、ご自身の体のこと命への想い、交友関係、これからのこと、その他伝えたいことなど、いろいろ考えるべきことが、たくさんあります。エンディングノートには、これらの項目が表示されていますので、書き始めてみると良いと思います。鉛筆で記入し、気持ちが変われば、書き換えれば良いのです。書くことは、ご自身の現状把握をし、気持ちを整理する過程なので、書くことが最終目標ではなく、その後、現状や想いを家族親族に話して、分かってもらうことが大切です。「私は、まだ死なないから。」とおっしゃる方も多いですが、書くべきことを理解し、ご自身のことを整理して記入する、そして、話し合うというのは、心も体もお元気な時でないとできません。いつでもできると思って先送りにしているうちに、大病やけがをして、書けなくなるということもあり得ます。

誰しも自分が認知症になるとは思っていませんが、誰も若くはなりません。早めに、リスクに備えて行動を起こすことが重要ではないでしょうか。

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