欧米に寝たきり老人はいない

京都で安楽死事件が起こりました。とても悲しいことです。亡くなられた方は、「もう少し生きたかった」と思っているでしょうか?長年の苦しみから解放されて、ほっとしているでしょうか? 

安楽死には今回のような積極的な安楽死と延命治療を控える消極的な安楽死があるとされています。我が国では、積極的な安楽死を手伝うと自殺ほう助として罪になります。安楽死を望む人がいる実態があるのに、きちんとした基準や手順がないから、今回の様な事件が起こります。生きる権利・死ぬ権利とか言われますが、生死選択の自由・権利は本人にあると思います。苦しく辛い思いが続いている人はとことん苦しみ抜かないと死ねないというのは、あまりにも酷な気がします。本人の幸せ・満足を考えるのが一番大切だと思います。そろそろ、わが国でも議論を始めるべき時にきていると思います。もちろん、悪用されないように、厳しい基準を作り上げていかなければなりません。

さて、今回は、終活関連本の紹介第5弾です。

中央公論新社から2015年に出版された宮本顕二・宮本礼子共著の欧米に寝たきり老人はいない』 です。

日本では、延命至上主義で、寝たきり老人がたくさんいますが、欧米ではちがうのでしょうか?

今回も内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

約200万人ともいわれる「寝たきり」大国の日本。どうすれば納得のいく人生の終え方ができるのだろうか、医療現場からの緊急提言。

★「職員も受けたくないと言う「苦しみの多い終末期医療」。★救急救命センターは高齢者でいっぱいのなぞ。★ドッキリ!自然な看取りなのに警察が介入。★欧米の高齢者医療は、苦痛の緩和とQOL向上。★世界の非常識!?終末期高齢者への人工的水分・栄養補給。★胃ろうで生かされるのはだれのため?   医療サイト「ヨミドクター」で大反響を呼んだブログに大幅加筆・増補!」

とあります。

宮本ご夫妻が欧米各国の終末期医療の現状に触れて、日本の問題点を示した本です。

日本では、医師の言われるとおりに治療を続けた結果、複数の管につながれて意思表示できなくなっても、生きる権利と言われて生かされ続けている老人がいっぱいいます。この方たちは、長生きできてお幸せでしょうか?

欧米では、(欧米と一口に言ってもその全てが同一ではありませんが、)宗教観・死生感は、わが国とは違います。

「高齢者が終末期を迎えると食べられなくなるのは当たり前で、経管栄養や点滴などの人工栄養で延命を図ることは非倫理的であると、国民みんなが認識している。」とか、

「生きている間は人生を楽しみ、死ぬときは潔く死ぬ。」という武士道にもつながる考え方もあります。

私は、50年前に、母方の祖父の看取りを見ました。当時、脳溢血になると手の施しようがなく、祖父は意識もなく自宅で寝かされていました。母方の家族が集まり、枕元で話しかけていました。私は子どもだったので、いとこが集まったのがうれしくてはしゃいでいましたが、その光景は目に焼き付いています。もちろん点滴などもなく、1週間で、すーっと自然に亡くなりました。そして、家族で体を清め、葬儀は自宅でした。

そういう昔の自然な看取りを知っている私の母は、父を看取る時の濃厚な治療を見るのは辛そうでした。過少でも過剰でもない本人にとって丁度よい医療が望まれます。いずれ全ての人に死は訪れます。その時をどう迎えたいかを事前に話し合うことが重要です。そして、家族として決断を迫られて迷った時は、「己の欲せざる所は人に施す勿れ」です。自分がしてほしいように看取りをしましょう

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