延命治療とは4 経静脈栄養

私は、父の見送りから、命の尊厳を守るため、延命治療受診をどうしたいか意思表示をしようと呼び掛けています。

「これが延命治療だ」という確定した治療はありません。受ける方の状態や価値観によって異なりますので、延命治療になり得る治療について、お話しいています。

病気や手術などで一時的に口から食事が取れなくなったり、胃腸が機能がかなり下がっている場合に、人工的に水分や栄養を補給する人工栄養法をとる場合があり、

胃や腸を使う「経腸栄養」と、

血液に直接栄養を入れる「経静脈栄養」の2種類の方法があります。

前回は、私が作成した「桜のようにいきたい」からで、お医者さんから、充分な栄養が摂れる栄養補給について、3つの提案があり、経腸栄養の経鼻チューブ栄養について説明しました。

詳しくは、『延命治療とは3』をご覧ください。

そして、経静脈栄養には、

心臓に近い太い静脈を使う「中心静脈栄養」と、

手足など末梢の細い静脈に点滴をする「末梢静脈栄養」があります。

末梢静脈栄養については、『延命治療とは2』をご覧ください。

今回は、2の中心静脈栄養についてお話させていただきます。

中心静脈は、心臓に近いとても太い静脈で血流が多いため、高濃度・高カロリーの輸液を投与しても一瞬のうちに大量の血液で薄められ、血管への影響や体の副作用も少なく、1日約2,500キロカロリーまでの高濃度の栄養を投与できるので、十分なエネルギーの補給ができます。そして、症状が悪化した時には、栄養だけでなく薬剤投与なども容易に行うことができます。        

中心静脈栄養は、首や鎖骨下や大腿部の静脈から細いカテーテルを挿入し、カテーテルの先端を心臓近くの太い静脈まで進めて固定します。一度、このカテーテルを設置すると、数か月間使用できるので、末梢静脈栄養のように何度も針を刺して点滴する必要がなく、苦痛が少なくなります。

ここまで、良いことばかりのようですが、デメリットもあります。          カテーテルを挿入する際に局所麻酔によるショック、注射針による損傷などの合併症を引き起こすリスクがあります。                          

一般的にカテーテルは炎症を起こしにくい材質のものが使われていますが、患者によっては細菌感染を引き起こすおそれがあります。

充分な栄養補給ができるのは良いのですが、逆に高血糖になったり、長期的に使用すると脂肪肝などの代謝性合併症を引き起こす可能性もあります。            

ごくまれに、管が抜けることがあります。また、意識がある方は、不快感があるため、本人が引き抜く場合もあります。

また、コストが高いこともデメリットの一つです。食物を口から食べないため、口の筋肉や嚥下機能が衰えますので、導入中も口腔ケア嚥下機能の維持を心がけることが必要です。

導入後のリスクや経過の見込みを理解し、医師ともよく相談した上で、中心静脈栄養を行うかどうかを決めると良いでしょう。

ここまで、2の中心静脈栄養について説明しました。あと1つの栄養補給方法の説明は、次回お話することとします

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です