延命治療とは16 ピンピンコロリ

私は、父の見送りから、命の尊厳を守るため、いろんな方の体験を組み合わせて延命治療の説明絵本「桜のようにいきたい」を作成し、延命治療についてお話をしています。

主人公のよしこおばあちゃんは、ずっと元気だったけれど、95歳で老衰状態になって口から食べられなくなりました。本人は「自然のままにさせて」と言ったけれど、ご家族の意向で胃ろうを施されました。3年を過ぎると意識もなく手足が拘縮してしまい、その状態で5年間がんばって103歳で旅立ちました。 

よしこおばあちゃんの家族は考えます。『ひいおばあちゃんがこんなことになるまで、人生のゴールの仕方について考えたことはなかったね。 どんなゴールが最も幸せかしら ピンピンころり(PPK)? そもそも、ピンピンころりって何? 』と。

今回は、ppkについて考えてみましょう。多くの方は、『90歳を過ぎても畑仕事ができる程元気に暮らしていて、倒れて1週間、家族に囲まれて、自然に畳の上で旅立つ。』これが理想の旅立ちppkというイメージをお持ちではないでしょうか?

よしこおばあちゃんの家族もそのイメージで、「お隣のいつも元気だったけいこおばあちゃんの旅立ちがppkではないかしら。」と話します。

それでは、理想的な旅立ちピンピンコロリ(ppk)編です。/

93歳のけい子おばあちゃん 毎日、元気に畑仕事。「次は何を植えようかなあ~。」と独り言。その日も近所のお友達のお宅で楽しくおしゃべり。その夕方、帰宅し、突然倒れました。

さて、けいこおばあちゃんの運命や如何に?よしこおばあちゃんと同じ運命をたどるのでしょうか?

いいえ、けい子おばあちゃんは、いつも、ご家族やご親族・お友だちに、こう言っていました。

お医者さんは、救急車で運ばれた患者さんの命をあらゆる手段で助けるのが仕事なのよ。もし私を見て、『もう無理だ』と感じられる時は、救急車を呼ばずに、かかりつけ医に連絡してちょうだい。最期は自宅で迎えたいの。延命治療は絶対にお断りよ。苦しい時間を引き延ばすだけだから。最期まで私らしく、尊厳のある状態でいたいの。」

いろんなご意見がおありでしょうが、これは、けい子おばあちゃんの想いです。

そして、けいこおばあちゃんは、家族みんなに見送られていつもお世話になっているかかりつけ医に看取っていただきました。微笑んでいるような幸せな旅立ちでした。

「けい子おばあちゃんが急に旅立ったのは悲しいけれど、おばあちゃんが望んだとおりのおばあちゃんらしい旅立ちができて本当に良かったね。」と家族は、満足のご様子でした。

よしこおばあちゃんの家族は考えます。「隣のけい子おばあちゃんの様に自分の望む旅立ちができたら良いね。もう治る見込みもなくなり、旅立ちを待つばかりの状態となった時、悲しみを先送りにすると、私たちみたいに本人も家族も長い間、本当に辛い思いをすることになるよね。私たちの望む尊厳のあるゴールを迎えるためには、あらかじめ、意思表示をしておくことが必要ね。」と話し合いました。

命は誰のものでしょうか?本人のもの?家族のもの? 

よしこおばあちゃんの場合は、いざその時になって希望を伝えましたが、本人の希望より「生きていてほしい。」という家族の思いを優先した結果、苦しい年月を引き延ばす結果となったのです。

けいこおばあちゃんは、前々から自分の意思を周りの皆に話して、理解してもらっていたので、自分の思い描くゴールを迎えられたのでした。

ゴールの仕方は人それぞれ。満足のいくものにしたいですよね。その具体的な方法については、次回ということにします。是非ご覧ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です