後悔病棟 希望病棟 ー自分の人生は自分のもの

さくら終活の大西です。

このところ、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そういうことあるよね。」と共感しきりですが、今回の小説では、あり得ない現象が起こって、一気に読んでしまいました。コミュニケーション能力と生き方が大きな二つのテーマだと感じます。

今回は、『後悔病棟』『希望病棟』について、こちらの『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』を少し交えてお話いたします。

2冊の内容は(「BOOK」データベースより)一部抜粋してご紹介します。

後悔病棟』については、

神田川病院に勤務する医師の早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、患者の気持ちがわからないのが悩みの種。ある日、ルミ子は病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の“心の声”が聞こえてくるのだ。-母に反対されて夢を諦めた小都子が目を閉じて願うと、“もうひとつの人生”へ通じる扉が現れる。聴診器の力で“あの日”へ戻った患者達の人生は、どんな結末を迎えるのか。夢、家族、結婚、友情。共感の嵐を呼んだヒューマンドラマ。

続編の『希望病棟』については、

神田川病院に赴任した女医の黒田摩周湖は、二人の末期癌の女性患者をみている。先輩のルミ子に促され、中庭で拾った聴診器を使うと患者の“心の声”が聞こえてきた。児童養護施設で育った桜子と代議士の妻で“従順な妻”として我慢を強いられてきた貴子の二人です。摩周湖の勧めで治験を受けた二人は快方に向かい、生き直すチャンスを得る。共感の嵐を呼んだヒューマン・ドラマ。 

この2冊とも人の気持ちが分らないと言われる女性医師が、不思議な聴診器を拾うところから話が始まります。

『2人にひとりがんになり、3人にひとりがんで死ぬ。』と言われる昨今ですが、ここで担当する患者は、末期がん患者で、余命数か月と宣告されています。がん細胞は増加して体は弱ってきますが、頭はしっかりしています。人生の終焉を意識して人生を振り返り、後悔で押しつぶされそうになっています。

そんな患者を担当する医師は頼りなく見えて、「担当医を変えて。」と言われます。

山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』これは、孫活で読んだ本ですが、今回の2冊に通じることがあります。「(患者と患者家族の)どんなふうに育ってきたのかといった背景を知っていれば・・・もっと優しい言葉をかけてあげられるはず。」(成田教授)の言葉です。「病を診るのではなく、人を観る」これは、(山中教授)の言葉です。

今回の小説の二人の医師は、本当は患者の気持ちが他の医師よりも分っているのです。ただ、コミュニケーション能力が低く、表現の仕方が言葉足らずなんです。これは、育ち方による自己肯定感の低さからきているんですね。(山中教授と成田教授の)この本で納得し、いかに家族の距離感が大切かを再認識しました。レジリエンス(ピンチを乗り越える力)が大切ともお話されています。

女医が、聴診器の力を借りて患者の心に寄り添うことで、患者は後悔を克服して心穏やかになります。女医も自己肯定感とレジリエンスを身に着けて、「担当医にしてください。」と言われるほど成長します。

また、死が迫っていた末期がんから奇跡的に良くなる患者もいます。生き直しの時間を与えられた彼らは、「今まで、会社人間だったけど、もっと家族や周りに愛情を持って接すれば良かった。」「周りに気を遣って、自分を抑えてきたけど、変わりたい。」等と考えます。

育ってきた環境によって、今の自分が作られたのは確かですが、自分の人生は自分のもの。自分はどうしたいか、これからどうなりたいかを優先し、行動することは大切です。

某保険のCMで「私はがんになって良かったと思ってるんですよ。」と言っている方がいますよね。人生に終わりがあることを意識したからこそ、人生の見直しをして、自分らしく充実した人生を送るようになったのですね。自分も他人も信じ、自分のために生き、人のために尽くす生き方を始めます。

「死ぬ時に後悔しない人生を送ろう。」とよく言われます。誰でもいつ何が起こるか分りません。普段から、自分に正直に後悔のない生き方を心掛けたいものですね。

次回も垣谷美雨さんの小説について発信していきますので、是非ご覧ください。

あきらめませんー若者から高齢者への支援は重く

こんにちは さくら終活の大西です。

この頃、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そんなこと言われるよね。」と共感しきりなんですが、今回は、政治についてで、2022年5月に出版された『あきらめません』です。

内容は、ブックデータベースよりご紹介します。

結婚して三十数年。共働きかつワンオペ育児を卒業し、節約を重ねて住宅ローンも返済完了。定年退職を迎えた霧島郁子がやっと手に入れた夢のセカンドライフは、夫の田舎へ移住したことをきっかけに音を立てて崩れていく。閉鎖的な地域社会、染み付いた男尊女卑―時代遅れな現実を前に打ちのめされる郁子だったが、ある日出会った銀髪の女性議員・市川ミサオの強烈な後押しで、なぜか市議会議員に立候補することに…!?この土地で生まれ育った落合由香も巻き込み、ミサオ(80代)、郁子(60代)、由香(30代)は、世代をこえて「私たち」を取り巻く問題に立ち向かう!       とあります。

折から参院選真っ只中ですね。連日、選挙カーから「よろしくお願いします。」と叫んでいる声が聞こえます。今は孫も大きくなったので腹も立たないけれど。孫が赤ちゃんの頃、やっと寝たと一安心したところへ選挙カーが大声で叫ぶ。途端にギャーと起きる。『赤ちゃんが寝ているのでお静かに願いします.』と大きな大きな立て看板を立てたいと思いましたよ。

議員さんには「我々人生残り少ない高齢者より、子どもや孫たちの住む将来の日本のためにしっかりやってください。」とお願いしたいです。この主人公の様に本当に若者が住みやすくて移住したい街にするにはと本気で考えて行動してくれる人はいるのでしょうか?

私は、孫たちに常々言っています。「このまま少子高齢化が進むと、あなた達若者は、我々高齢者に搾取され続けて『働けど働けど我が暮らし楽にならじ」だから、英語を始めとする外国語を習得して、搾取されない国で自分のために暮らしなさい。」と。

というのは、日本の高齢化の推移は下の図のようになっているので、現役世代の負担は増加の一途になりそうだからです。このグラフは内閣府令和3年版高齢社会白書の高齢化の推移と将来推計です。横軸は年で、1950年から2065年までです。縦軸は人口。グラフの下が高齢者でピンクが75歳以上、水色が65~74歳、赤が15~64歳の現役世代、黄緑が0~14歳です。我々高齢者の全人口に占める割合である高齢化率は赤い折れ線グラフで2060年には38.1%になっています。黄緑の折れ線グラフは、65歳以上人口を15~64歳人口で支える割合で、50年前の1970年には9.8人で一人の高齢者を支えていたけれど2020年には2.1人、2045年以降1.4人でひとり支えることになる推計です。高齢化率は増える一方で現役世代の人口は減る一方です。

次に社会保障費の負担率です。

まずは、後期高齢者医療制度です。第1回社会保障審議会 後期高齢者 医療の在り方に関する特別部会の資料です。平成20年にこの制度が創設され、負担割合は変わっていません。国・都道府県・市区町村の税金から50%、高齢者医療支援金として各医療保険(健保・国保)から40%。残りの10%が後期高齢者の保険料です。

次に介護保険制度です。こちらは厚生労働省の『介護保険制度について』という資料です。保険料として40歳~64歳の第2号被保険者が28%、65歳以上の第1号被保険者が22%、合わせて50%。残りの50%を国・都道府県・市区町村が負担し、税金で賄われています。

次に年金制度です。こちらは、厚生労働省HPの『教えて!公的年金制度 公的年金制度はどのような仕組みなの?』です。

「現行の公的年金制度は、現役世代が納めた保険料をその時々の高齢者の年金給付に充てる仕組み(賦課方式)を基本とした財政方式。その上で、経済の変動などにより、年金給付の支給に支障が生じないよう、過去に積み立てた積立金を活用しつつ運用している。と載っています。そして国民年金の支給額の2分の1を国庫(国の税金)が負担しています。

このように、社会保障給付に、現役世代から全人口の1/3の高齢者に対して支援しているのです。

終わりに、社会保障給付費(年金・医療・福祉その他)の推移(内閣府の資料)です。1950年から2017年までを表しています。これからも少子高齢化はどんどん進み、この負担は増加するでしょう。

このままでは、どこかの国の様に、若い優秀な人たちはどんどん海外移住するでしょうね。

現役世代の高齢者に対する負担増問題も少子化が解消すれば、全て解決します。経済だって上向くでしょう。

2.95こちらは岡山県奈義町の2019年の合計特殊出生率(一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均)です。同年の全国平均1.36に比べると2倍以上であることが分かります。奈義町は今もさまざまな子育て支援策を打ち出しています。少ない子どもを取り合いするより、奈義町のようにここで子育てしたいと思える環境があれば、どこでも子どもは増えていくのでしょうね。

少し前に『数年前の地方議会でのハラスメント発言の音声』が公表されていましたね。この小説の主人公霧島郁子は女性です。閉鎖的な地域社会、染み付いた男尊女卑、時代遅れな現実の中、これらの少子高齢化問題に対してどう対処したでしょうか?皆さんも是非読んでみてくださいね。あなたも読んだら郁子の街に移住したくなるかも。さて参院選。しがらみなく、本当に将来を見据えて活動してくれる霧島郁子のような候補者に投票しましょう。

次回も垣谷美雨さんの著書について発信しますので、是非ご覧ください。