世代間扶養から世代間の公平性へ

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191129/k10012195881000.html

NHK NEWS WEB

「75歳以上の医療費自己負担増を検討」というニュースが流れ、高齢者のインタビューが報道されました。「年金生活なのに、医療費が上がるのは苦しい。」と。

何故、後期高齢者医療の自己負担率を引き上げようとしているのでしょうか。

その昔、年金制度ができる前は、ご隠居さまを家族で扶養していました。

昭和36年国民年金制度が創設され、わが国は、国民皆年金という社会全体でご隠居さまを支えましょうという世代間扶養の制度が実現されました。

また、昭和36年国民健康保険が創設され、国民皆保険というみんなで医療費を分かち合いましょうという相互扶助の制度が実現されました。

昭和35年平均寿命は、男性65歳女性70歳でした。そして、定年年齢は55歳。厚生年金は男性60歳女性55歳支給開始(S19年は、男女とも55歳支給開始)で、国民年金は65歳支給開始でした。高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は5,7%、現役世代(16~64歳)11,7人で65歳以上の高齢者1人を支えていました。

あれから60年! 今では、平均寿命は男性81歳女性87歳、定年年齢は原則65歳、厚生年金も段階的に支給開始年齢が上がり国民年金に合わせて65歳から。高齢化に伴い、年金受給期間は長期化していますね。そして、高齢化率は28%、2人で1人を支える時代になりました。詳しくは、下の表をご覧ください。

平成30年版高齢社会白書(内閣府)より

高齢者医療の推移

S48年1月 老人医療費支給制度の創設(70歳以上。いわゆる無料化)S58年2月 老人保健制度の創設(75歳以上か65歳以上寝たきり。1割負担)                               S59年10月 退職者医療制度の創設                H12年4月 介護保険制度の導入                 H20年4月 新たな高齢者医療制度の創設(75歳以上の後期高齢者の独立した医療制度の創設。退職者医療制度は廃止。)

75歳以上の後期高齢者医療制度の財源は、後期高齢者の保険料1割、現役世代の保険料から後期高齢者支援金として4割、残り5割は税金からと、9割は現役世代からの仕送りとなっています。

2025年には、団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となり、全人口の17,8%になる見込みです。5,6人に1人は75歳以上。ちなみに65歳以上は30%。現役世代1,9人で65歳以上1人を支えることになります。今の制度のままで制度が存続できるのでしょうか?高齢者の方も大変でしょうが、現役世代も自分たちの生活に余裕があるわけではありません。だんだん少なくなる現役世代が、増え続ける高齢者世代への支援を続けることで、老若共倒れにならないように、いろんな制度改正が検討されているのですね。