自然死のすすめ

終活関連本の紹介第3弾です。

幻冬舎新書から出版された中村仁一著の大往生したけりゃ 医療とかかわるな 「自然死」のすすめ』 です

我が国の医療は、早期発見早期治療が、浸透しています。このタイトルは、それを真っ向から否定するもので、びっくりしますよね。どういうことかなと読んでみました。

今回も内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

『3人に1人はがんで死ぬといわれているが、医者の手にかからずに死ねる人はごくわずか。中でもがんは治療をしなければ痛まないのに医者や家族に治療を勧められ、拷問のような苦しみを味わった挙句、やっと息を引きとれる人が大半だ。現役医師である著者の持論は、「死ぬのはがんに限る」。実際に最後まで点滴注射も酸素吸入もいっさいしない数百例の「自然死」を見届けてきた。なぜ子孫を残す役目を終えたら、「がん死」がお勧めなのか。自分の死にどきを自分で決めることを提案した、画期的な書。 』とあります。

私事ですが、お正月に還暦同窓会がありました。この年になると、ご多分に漏れず、話題は、主に3つ。1.孫のこと、2.親の介護のこと、そして3.自分の病気のことです。

「私、○○がんだったの。」「僕は○○がんで今度手術するんだ。」という声があちこちから聞こえました。がん適齢期になったんだなあと感じます。でも、この年なら、まだきちんとがんと向き合って治療しないといけませんよね。

先日は、知人の86歳のお元気なお父様、医師から「90代になっていれば、手術を勧めないけど、まだ80代だからがんの手術をしましょう。」と勧められて、手術されました。今まで楽しんでされていた畑仕事はできなくなり、QOLは下がりましたが、日常生活は普通にされているとのことで、良かったです。

この本では、がん治療についてもさることながら、高齢者への過剰医療、延命治療についても触れられています。病院の医師は、病気を治そうと懸命に検査・治療してくれますが、中村医師は、老人ホームの付属診療所長ですから、高齢者の負担になることは極力せずに、穏やかな死を迎えさせてあげたいというお考えです。私は、こちらが興味深く、この本は、延命治療を考えるためのバイブルとなりました。

この度の新型ウィルス感染拡大の初期に、「日本人の早期発見早期治療の考えによる通院で、院内感染が広がる。」と危惧されました。そのため、老化による症状で我慢できる方や、軽症で自分の治癒力で治そうと、病院に行くのを控えている方が増えて病院の経営状態が………と報道されています。そして、「受診を控えたために、症状が悪化する人もいる。」とも言われます。

薬には副作用が付き物です。高齢者の中には、いろんな診療科から合わせて1日20種類もの薬を服用されている方もいらっしゃいます。個々の薬が作用しあって、副作用も相当だと想像します。そういう方は、減薬すると調子が良くなったという話もよく聞きます。

通院も薬も闇雲に減らせば良いというものではありませんが、この機会に、適度な治療・投薬を心掛けて、穏やかなゴールを目指したいものです。

すべてのものに寿命あり

世の中は、Withコロナのフェーズに移って、少しずつ動き出しましたね。

そんな中、「終活でお勧めの本は、ありますか?」という質問をいただきましたので、終活関連本の紹介をしていきます。

私は、終活セミナーで、ひとつしかない命、大切に考えましょうと、お話をさせていただきますが、分かりやすくお伝えしたいと思い、絵本も取り入れています。

今回は、そんな絵本の中から、とっておきの一冊をご紹介させていただきます。

この絵本、いろは出版から出版された『寿命図鑑』です。

終活セミナーの始めに、この絵本を紹介すると、子どもから高齢者まで、「そうだよね~。何にでも寿命はあるよね。」と命について考えていただく良いきっかけとなり、理解が深まります。

余談ですが、うちの孫は、この本で、いろんな寿命を繰り返し見ていますよ。

それでは、帯をご覧ください。「『みんな、いつか、死んでしまう』ということを知って、一生懸命生きていってほしい。そんな想いを込めて、動物、人、建築物、機械、天体・・・・この世の全てを13カテゴリーに分けて、…。」という、万物の寿命をあつめた絵本のような図鑑です。

当然ですが、大きくても小さくても、物でも生き物でも、期間の長短に関わらず、全てのものに終わりがあります。

もちろん、人間もですね。 細胞レベルで考えると、日々新陳代謝が行われています。お顔のお肌のターンオーバーを意識して、お手入れしますよね。 髪の毛も…、いやこれは差しさわりがあってはいけませんから、触れないことにします。

また、内臓が, 特別意識しなくても、それぞれの役割を果たしてくれているから、生きていられます。

こうして普通に暮らしていると、このまま永遠に生きている気がして、いずれ寿命が尽きることなど想像しませんね。

でも、早かれ遅かれ、終わりは必ず訪れます。生き物の死亡率は、100%です。終わりがくるからこそ、夢を叶えようとしたり、愛したりします。 花は、散るからこそ美しいと感じます。 壊れたり無くしたりするから、周りのものを大切にするのです。

いずれはゴールの時がくるから、私たちは、一瞬一瞬を大切に生きて、したいことは優先順位をつけてできる時にする!  会いたい人には、自分が動けるうちに会っておく!

いずれはくるゴールの時までどう過ごして、その時をどう迎えたいかをしっかりと考えて、「あ~良い人生だった。」と満足して迎えるために、命を考える終活が重要な役割を持つのですね。

急な入院への備え 1

新型肺炎による緊急事態宣言が、全国に拡大されました。

今回の新型肺炎は、無症状、軽症の方も80%と言われていますが、軽症でも、高熱が何日も続いて本当に苦しい日々だそうです。残り20%は酸素吸入が必要なほど重症化し、急激に悪化して助からない方もあります。 

ところで、あなたは、終活や防災のための準備をされていらっしゃると思いますが、今回のような病気や入院に対する備えは、充分でしょうか?

先日、100日後に死ぬワニ というインスタが話題になりましたね。100日と分かっていても、ドキドキはらはらしながら読みました。今回の肺炎は、症状が出て、たったの1~2週間で、旅立つ方もあります。

もし急に入院・悪化・最悪死亡となったらどうなるでしょうか。周りの方の困惑は相当なものがあると思います。

そこで、今、何をするべきかを考えてみましょう。

ご自身と愛するご家族の負担を減らすためには3つの備えがあります。

  • 入院セットを作る。 
  • エンディングノートを書く。
  • 遺言書を作成する。  

今回は、入院セットを作るについて、お話します。

入院セットで思い出すのは、私の母です。父の晩年、いつ入院になるか分からないからと、常時、セットを作っていて、季節ごとに入れ替えもしていました。私はといえば、数十年前、お産の時に作りました。それっきりです。 

以前、ちょっと先輩の女性が足首をけがして受診すると,骨折していて即入院となりました。でも、「家族が物の位置も分からず、誰も準備してくれないので、一旦帰って準備します。」と痛い足で帰宅して準備したと聞いたことがありました。その時は他人事として聞き、「大変だったね」で終わっていましたが、やはりこの年になると、いや若くてもいつ何があるか分かりません。ちゃんと、恥ずかしくない備えが必要だと思います。

用意するものは、パジャマや着替え、湯吞ティッシュ、タオル、歯ブラシスリッパ等です。常時入れておく訳にはいきませんが、健康保険証、お薬手帳などは必需品ですね。

急激に症状が悪化した場合、準備などできませんから、ここにまとめて置いてあるということを、家族や世話をしてくれる人に話しておくと良いですね

天災・人災・目に見えないウィルスと、自分の身にいつ何が起こるか分かりません。「手洗いうがい消毒を徹底していたのに、まさか、自分が!」と、テレビでおっしゃっている方もありました。

何かが起こりかけてあわてないように、外出自粛の今、前もってできることをしておきましょう。

呼吸不全の治療

悲しいことに、新型肺炎の患者さんがどんどん増えていますね。テレビをつければ、ずっとその話題です。

今回の新型肺炎は、いろんな薬も投与されていますが、呼吸不全の治療も重要です。

どんな治療があるのでしょうか。その治療のイメージをご覧ください。

  • まずは、鼻カニューレ、この管で毎分5Lまでを目安として酸素吸入をします。呼吸困難の緩和、身体各器官の機能の酸素供給を正常に保つことを目的としています。 1cmほどを鼻腔に挿入して、チューブを耳にかけて固定して、酸素を投与します。チューブの装着は鼻腔のみなので、患者さんへの負担が少なく、装着したままでも、会話や食事が可能です。
  • 症状が進み、毎分6Lを超える酸素が必要になると、酸素マスクで鼻と口から酸素吸入します。ポリープなどで、完全に鼻腔が閉塞している患者さんには酸素投与の効果があります。
  • 肺炎が重症化して、自力で肺に酸素を取り入れられなくなると、人工呼吸器を用いて機械の力で肺に酸素を送ります。人工呼吸の目的は、酸素付加と二酸化炭素排泄を補助することと呼吸仕事量の軽減です。
  • それでも症状が改善しないときには、ECMO(エクモ)(人工心肺装置)を使って血液を体外に循環させて酸素を直接注入して体内に戻します。ただし、ウイルス感染の影響で全身状態の悪化が止まらないと、ECMOを使っても助かる見込みは低くなります。

ここまで、呼吸不全の治療イメージでした。こうしている間も医療現場では懸命の治療をしてくださっていて、感謝ですね。

起こってほしくないことには、「縁起でもない」と、蓋をしがちですが、起こりうる最悪の事態を想定して、そうならないために、或いは、なった時のために、キチンと対策を知っておくのも大切なことです。

明日身近な処から感染者が出ないとも限りません。隔離入院になれば、完治か死亡で帰ってくることになります。後悔する前に、大切な人と想いを話し合っておきましょう。

まずは、私たちにできることを粛々とやっていきましょう。

人生最終段階のQOL

志村けんさんがお亡くなりになりましたね。子どもの頃、8時だよ全員集合を楽しみに見ていた世代なので、ショックは大きいです。「70歳とご高齢で」とテレビで言われていて、「え、10歳しか違わない?」とまたショック。

2016年に肺炎の手術と今年1月胃のポリープの内視鏡での切除をされていたので、免疫が下がっていたのかも知れないと言われています。3月17日に倦怠感を感じて29日にお亡くなりになりました。12日で旅立ちとは、早すぎます。

本当に悲しすぎます。と同時に新型肺炎の怖さもひしひしと感じました。

命の幕切れがあまりにあっけないと感じたので、人生の最終段階のQOLのイメージをグラフにしてみました。

  • ①は、心身の状況が良くなくて、低空飛行を続けてその日を迎える。
  • ②は、何かの病気・不調と共存しながら、少しづつ弱ってということ。
  • ③は、結構、調子良く過ごして、短期の療養で旅立つ。志村さんの旅立ちがそうですね。
  • ④は、事故や心筋梗塞で突然にという、言うなれば即死に近い状態です。

みなさん「ずっと元気で、PPKが理想。」とおっしゃいますが、それは、③か④のパターンです。志村さんは③ですよね。70歳とまだお若いので、本人も無念でしょうし、周りはみんな、辛いですよね。

いずれ、みんなにゴールは訪れますが、今回の新型肺炎は、若くても重症化するリスクはあるということですよね。今私たちにできることとして、栄養・睡眠に気を付け、免疫力を上げ、うがい手洗い消毒、これらを励行して、この新型肺炎に打ち勝ちましょう。

命の話をしましょう!

みなさん、突然ですが、ご自分の人生のゴールについてお考えになったことがありますか?

「あら、そんな縁起でもない!」って声が聞こえます。では、あなたは、不老不死=永遠の命ですか?

そんなはずは無いですね。 この世に生まれてきた以上は、必ずその時を迎えますよね。 

ところで、今から70年前は人生50年と言われていました。実際、1947年男性の平均寿命が初めて50年を超えました。 今では、平均寿命が、男性81歳、女性87歳と、30年以上伸びていて、 今の高齢者も20年前より、10年若返っていると言われます。オギャーと生まれてきて、はえば立て、立てば歩めでどんどん大きくなって、立派な大人になります。でも、人間の体の機能としては20代位をピークに徐々にダウンしていきますね。 そのダウンのスピードが、ゆっくりになって長~くなっているのです。

以前、「人の命は地球より重い」 と言われました。 うんうんと分かる方は、同じ世代の方ですね。

命は、確かに大切です。では、命の何が大切なのでしょうか? 命の長さでしょうか?どんな形でも良いから、ただ生きていれば良いですか? それとも、命の質ですか? 多少短くなっても良いから、最後まで自分らしく、尊厳をもって暮らしたいですか? こう問いかけると、みなさん う~んと考えます。 中には、「両方!元気で長生き!」とおっしゃる方もいらっしゃいます。 それは、それが理想です。 

でも、なかなかそうばかりは行かないのが実情なんです。 「ご自身は長さと質 どちらを重視したいですか?」 こうお聞きすると「質」とたいていお答えです。 では、「愛するご家族はどうですか?」の問いには、「やはり、長く生きていてほしいです。」と。「では、ご自身が嫌なことを愛するご家族にさせるのですか?」 

「縁起でもない」と、そういう話題は避けていますが、その決断を迫られる時は、突然やって来るのです。 昨今は、100年に一度ということが、度々起こります。天災・人災・それから今は、目に見えないウィルスとも戦っています。

「命の話をしたことが無いから本人の気持ちが分からない。あの時、気持ちを聞いておけば良かった」と、後悔している方がたくさんいらっしゃいます。愛するご家族の闘病中も失った後も、『これで良かったのだろうか?もっと、違う選択があったのではないか? 』と、ずっと苦しんでいらっしゃいます。

「いざとなったら考える」では、遅いのです。今、お元気だからこそ、話し合えるのです。 まずは、ご自身のことを考え、その気持ちをご家族に話す。それから、ご親族や周りの方とも話して、想いを分かってもらいましょう。

年に不足はない

1.もう十分に年を取っていていつ死んでも不満はない。

2.年齢が若すぎるということはない。「結婚するにはー・い」            

(デジタル大辞泉〔小学館〕)              

「年には不足はない」少し前まで概ね80歳を過ぎた方のお葬式で聞かれた言葉です。しかし、最近では、全く聞かれなくなりました。人生100年時代になったので、それ未満なら不足があるのでしょうか。

あなたは、何歳までこの世で生きる予定ですか? 平均寿命までですか?健康寿命までですか?元気で毎日生き生きと活躍して生きられるなら、いつまででも生きたいですね。

でも、そうなんです。植物にも動物にも、もちろん人にも寿命があるのです。日本人の寿命は縄文時代、15歳ほどだったようです。長い間かけて少しずつ延びて昭和の終戦後初めて50歳を超えました。その頃『人生50年』と言われていました。そこからわずか70年で30歳も延びて、80歳超になりました。先日、『日本の75歳の気力体力は、20年前の65歳なみ。』と報道がありました。ご存じのとおり、栄養の改善、医療の進歩によるもので、素晴らしいです。

70代の方との話の中で、「昔の60歳ってすごくおばあさんに見えたよ。腰の曲がっている人もいたわ。それを今考えると骨粗しょう症だったのでしょう。でも、現在の60歳は、若々しいし、70歳過ぎてもこうして趣味に勤しむことができて幸せよ。」とおっしゃっていました。我々一般人も若返っていると実感しているということですね。

ところで、人の体の機能のピークは何歳でしょうか? 人生100年時代なので、半分の50歳でしょうか。では、スポーツ選手はいつ引退しますか?スポーツの種類にもよりますし、レジェンドと言われる方もいらっしゃいますが、平均を考えるなら、概ね30歳位ですよね。先の質問、人の体の機能のピークは、26歳です。26歳でピークを迎えたら、後はずっと下り坂。

下り坂が緩やかに、長ーくなっているのです。病気が出て治療し、完治します。若いうちは、それ以前と同じQOLを保つことができますが、年を重ねると入院ごとにQOLは下がります。QOL維持のために、栄養に気を配り、適度な運動し、頭を使うことで、歳に抗い、いつまでも健康でと頑張りますが、やはりこの世に生まれた以上、いづれはみんなに必ずゴールは訪れます。

「いつゴールがきても、後悔しない生き方を」とよく耳にします。また、「いつも新しいことに挑戦している人にとっては、いつゴールがきても、後悔する生き方になる。」という意見もあります。どういう生き方を選択するにせよ、高齢期に入ったら

『命には限りがある』ということをしっかり自覚して、自分のしたい夢を叶え、ご家族や周りの人に感謝の意を伝え、自分の生きてきた人生の引継ぎ方法も考え、一日一日を大切に生きていれば、自分の人生に満足でき、「年に不足がない」と言えるのではないのでしょうか。

映画「最高の人生の見つけ方」を見ました

トリプル介護をしている友人から「この映画良いよ~」と言われました。『どうかなあ』と思ったけど、熱心に勧められたので行かない訳にはいきません。吉永小百合ファンの母への孝行のつもりで一緒に行ってきました。

友人からあらすじを聞いていたし、NHKで吉永小百合さんの密着番組も見ていたので、完全にネタバレ状態でしたが、ストーリーに引き込まれて何度も涙が。 正に終活! 思いの外とっても良かったです。

二人は、人生のゴールが見えてきたことにより、やりたいことリストを実践していろんなことに挑戦しました。それを実行していくのが幸せに見えました。でも、人ができないいろんな経験をすれば幸せでしょうか?部下をいっぱい率いていれば幸せでしょうか?お金がたくさんあれば幸せでしょうか?

それまで、二人はそれぞれに抱えていた想いを隠して生きてきました。実社会においても誰でもそうです。みんないろんな思いを言えずに生きています。『言わなくても分かっているはず』と互いに気付かないふりをしている人が多いのですが、本当は言わないと伝わりません。家族でも友人でも。二人は、旅の途中で本音を言い合い、お互いのためを思って行動し、本当に大切なものに気づきました。

自分自身の人生に悔いを残さないように、今までのわだかまりを解消して遺される家族のこれからの幸せな生活の道筋をつけ、それから社会のためにと最高のゴールを切りました。最高の人生を見つけたのです。『こんなに何もかもうまくいくかな』と思うけど、人生のゴールの切り方を決めるのは自分自身です。

この映画を勧めてくれた友人は、毎日分刻みの生活でいつも忙しくしています。映画など見に行く時間などとても無いように見えます。でもそういう忙しい人こそが、家族で話し合い、協力し合い、時間を作って心を高めています。「ぼーっと生きてんじゃねえよ。」と言われそうです。

「あなたに会えて良かった。」「最高の人生だった。」私もこう言ってゴールできるように1日1日を慈しんで大切に生きたいと思いました。

是非、皆さまもご覧くださいませ。

日本が世界の姥捨て山?!

終活セミナー後の雑談で、恐ろし~い、でも、本当に現実となるかもという話題に!

世界断トツトップで、高齢化が進んでいるわが国。皆さまは、人口ピラミッドを見たことがありますか。

        https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/08.pdf

この表の縦軸は年齢、横軸は人口を示しています。生き物としての一般的な形は、生まれたての赤ちゃんが一番多く、歳が上がっていくに連れて減っていくという形です。
人口ピラミッドの推移をご覧いただくとお分かりのように、2060年には、80歳オーバーの方が一番多く、若くなるにつれて人口が減っていきます。全体の人口も約9280万人に減少し、65歳以上約3380万人で高齢化率(全人口に対する65歳以上の割合)は40%。認知症患者は1150万人との予測もあり、全人口の12.4%となります。なんと全人口の8人に1人は認知症になる予測です。
現在でも、人手不足で、介護スタッフは足りないのに、2060年にはどんな社会になっているのでしょう。

日本の現役世代は、超高齢社会に社会保障費等への負担増に

健康保険料率は10%前後(労使折半)で、その中から後期高齢者支援金が支払われていまます。介護保険料率は1,73%(労使折半)。厚生年金保険料率は18,3%(労使折半)で世代間扶養として、現在の高齢者に年金として支払われています。

税金は、所得税、地方税を始め、いろいろ納付していますが、消費税が引き上げられたばかりですね。消費税増税分は、少子化対策として幼保無償化にも使われます。

社会保障費(医療費、介護費、年金)への税金からの負担はどんどん増加しているし、インフラの老朽化、生活保護受給者の増加等で、これからどうなっていくのでしょうか。

こういう現実から、我が子や孫には、「この国にいつまでも居なさい。」とは言えませんよね。それで、表題のような結論になったのです。こうした現実(働けど働けど、我が暮らし楽にならず・・・=高齢者に吸い取られるから)に嫌気して、若者はどんどん住みよい国へ、残るは私たち老人ばかり。老々介護、認々介護(軽い認知症者が重い認知症者を介護)が当たり前、介護スタッフは機械ばかり。日本全体が姥捨て山に。それならと他国からも高齢者が日本へと集まって来たりしてと。

平均寿命・高齢化率が低かった時の高齢者優先意識から、3,5人にひとりは高齢者となった今、希少価値の若者優先の意識に変えて、若者が生きやすい、少子化対策を必死に取り組まなければ、本当に日本は姥捨て山になってしまうかも!?

(写真は、日の入り前の輝きです。)

「死にゆく人の心に寄り添う」を読んで

「NHKクローズアップ現代+」で紹介された玉置妙憂さんの「死にゆく人の心に寄り添うー医療と宗教の間のケア」を読みました。

現役看護師である彼女は、「これ以上治療を続けない。」と言う夫を自宅で看取りました。治らないし、体が受け付けないにも関わらず最期まで治療を続け、かえって本人を苦しませることになる病院死とは全く違う、食べられなくなって自然のままに自分の体をきれいな状態にする穏やかな最期に価値観が変わり、出家して女性僧侶になりました。

半世紀前は、医療も今ほど進んでいなかったので自宅で見送るのが普通で、家族・親族・地域で見送っていたので、辛い中にも『こういうものだ』と教えてくれる人もいて安心感がありました。

現代は、生まれてくるのも死ぬのも命の現場は病院で、死にゆく本人も初めてのことだし、家族も看取る経験もないので、どうしたら良いのかと戸惑うのは当然のことです。見送った後も「あれで喜んでくれただろうか。もっとこうすれば良かったのではないか。」とグリーフ状態が続く人も多いのです。

彼女は、看護師として医療に従事して体のケアをし、臨床宗教師として死にゆく人そしてその家族の心に寄り添いケアしています。助けてもらった人は本当に満足だと思います。

昔は、地域で行っていた人生のイベントが、結婚式は式場、病気は病院、葬儀は葬儀社と専門家に任せるようになっています。看取りにもサポートしてくれる専門家が必要となり、臨床宗教師や前回ブログの『みとりし』も誕生しているのでしょう。

高齢化はどんどん進み、すでに多死社会に入っています。専門家を頼るのも必要なことではありますが、みんなが頼れる訳ではありません。事前に自分で知識を持つのも大切だと思います。

この世に生きているすべての生き物は、必ず終わりを迎えます。永遠の命などありえないのです。そのことを考えていない人が多い。「縁起でもない」と気付かないふりをしています。

QOD(Quality of die 死の質)。2010年、イギリスの雑誌『エコノミスト』が提唱した概念です。『終わりよければ全て良し」というではありませんか。「若いから大丈夫」「元気だから大丈夫」「私に限って大丈夫」いやいや、いつ何が起こるか分かりませんよ。「病院死はどうなる。」「自然死はどうなる」という知識を持って、自分はどんなゴール迎えたいのか、そのためにはどこを選択するべきなのかを考えましょう。そして、家族親族と命の話し合いをしましょう。体の状態が変わり、気持ちが変わったらまた話し合えば良いのです。そして、幸せなゴールを迎えましょう。遅かれ早かれ必ずその時はやってきます。