未来の年表 未来の年表2 人口減少の実態

今回は、こちら。河合雅司(かわいまさし)氏著「未来の年表」「未来の年表2」です。

まずは、「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」です。

内容紹介は、(出版社より)一部抜粋

日本が人口減少社会にあることは「常識」。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか? 第1部では「人口減少カレンダー」とし、2017年から2065年頃まで、いったい何が起こるのかを、時系列に沿って、かつ体系的に示した。第2部では、第1部で取り上げた問題への対策を「10の処方箋」として、なるべく具体的に提示した。人口減少に関する日々の変化というのは、極めてわずか。ゆえに人々を無関心にする。だが、それこそがこの問題の真の危機、「静かなる有事」である。本書は、これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書となる。  とあります。

我が国の人口減少は、そんなに深刻なのでしょうか? 人口減少カレンダーのこれらの各項目について統計資料を見てみましょう。

まずは、こちらをご覧ください。人口減少の実態です。令和4年版高齢社会白書から高齢化の推移と将来推計です。この図からお分かりのとおり、我が国の人口は、08年の12,808万人をピークに一貫して減少していきます。

そしてこちらは、出生数及び死亡数の将来推計です。死亡数は、‘22年は1,568,961 人で、‘21年の 1,43 9,856 人より 129,105 人増加しています。

出生数は‘22年 770,747 人で、‘21年の 811,622 人より 40,875 人減少しています。これだけ見ると人口は‘22年に798,214人減少しています。この表の‘25年推計より、死者数は多く出生数は少なくなっていて、推計よりも人口減少の進み方が早いことが分かります。

次は、総務省統計局の人口推計から我が国の人口ピラミッドです。縦軸は年齢。下が0歳で上は100歳超です。横軸が人口です。生き物としては、下が多くて上に行くに連れてだんだん減少していくのが良いのでしょうが、若い人程人口が少ないのが実態です。70歳超の人口が多いところが団塊の世代、50歳辺りが団塊ジュニアです。2020年 女性の2人に1人が年齢50歳以上になっていることが分かります。出産できる年齢の女性が減少していくのですから、これから加速度的に人口減少するのは目に見えていますね。

次に、国土交通省の資料 家族類型別一般世帯数及び単独世帯割合の推移です。一番下のピンクの部分が、単独世帯で、年々増加し、‘20年が29.7%となっていて、まさに2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化しています。

次に、再度この資料ですが、高齢化率は、赤の折れ線です。総務省の発表によると現在29%となっていて、2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」になります。ついでに言うと、全人口の5.6人にひとりが75歳以上です。

次に、65歳以上の認知症患者の推定者と推定有病率です。65歳以上の5.4人にひとりがなると言われています。高齢所の増加と共に認知症患者数も増加し、2026年 認知症患者が700万人規模になりそうです。

この後もたくさんの項目がありますが、全て事実となっていくことでしょう。

「未来の年表2人口減少日本であなたに起きること」の内容は、

内容(「BOOK」データベースより)

少子高齢社会のリアルな脅威は、何気ない日常にこそ潜んでいます。10年後、20年後、あなたの身に迫る事態を一覧にしました。今からあなたにできる「メニュー」8つも提案。  とあり、より身近に起こることを分り易い例として挙げています。

一つだけ例を挙げてみます。未来の年表に、「2025年 ついに東京都も人口減少へ」とありました。今まで地方から人を集めてきた東京も‘25年をピークに人口減少に向かうと推計されています。

そして、未来の年表2に「高級タワマンが、『天空の老人ホーム』に変わる」があります。かつてのニュータウンがオールドタウンになっているとお聞きになっているでしょう。高級タワマンも今現役の方々が購入され、何十年か後には、入れ替わりはあるにしろ、住人も年を重ねます。建物自体も古くなります。空き部屋も増えていくでしょう。

話は変わりますが、先日長崎の崩れ行く軍艦島の映像をテレビで見ました。今どんどん建築中のタワマンを始め、日本中が人口減少によってこんなことにならなければ良いなあと感じました。

ここまで、いろんなデータを見てきました。平均寿命が延びて少子高齢化により、社会構造も変化してきました。定年年齢は55歳から60歳、そして、65歳までの雇用確保は義務になりましたが、加えて希望する従業員を可能な限り70歳までの就業機会の確保が努力義務になっています。

年金も寿命の延びから一人ひとりの受給期間がどんどん延びています。厚生年金受給開始年齢も移行期間を経て、男性s36,4,2生まれ・女性s41,4,2生まれ以降の方は、65歳支給開始になります。繰り下げ受給の年齢が75歳までになりました。年金も今後どうなるか見守る必要があります。

一番右の数字は、65歳以上の人を16~64歳の現役世代が何人で支えるかという数字です。昭和25年は12.1人でひとり(胴上げ状態)でしたが、騎馬戦状態を経て、令和7年では1.9人でひとり(肩車状態)になるとされていて、これからもっと厳しくなっていきます。65歳以上の方も支え手にならないと社会が回らないということですね。

以前、長崎五島列島を観光した時、「80代は現役世代」と、観光客をおもてなししてくれました。二十年後には、日本中がそうなるのでしょうか。

今は、一次産業や介護職など幅広い業種で人手不足となっていますが、物流も‘24年問題と言われています。実際、飲料の赤いトラック以外は、中高齢のドライバーが多く見えます。そして、そのうち一般会社員も。いずれは、役場・警察・消防・自衛隊なども人手不足に陥るのでしょうか。このまま少子化が推移すれば、「日本なくすにゃ刃物は要らぬ30年間待てば良い」ということになるのでしょうか。

それに対して、著者河合雅司氏の「10の処方箋」がある訳です。

政治家の方々は、こうなる未来を把握して、異次元の少子化対策をとがんばっているのでしょう。

著者河合雅司氏の様に具体策を持つ方々が、日本を引っ張って行ってくれると良いなあ。と思う今日この頃です。

あなたの人生、片づけます・姑の遺品整理は迷惑です ~心の片づけ

こんにちは さくら終活の大西です。

この頃、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そんなこと言われるよね。」と共感しきりなんですが、今回は、永遠のテーマお片づけについて。 『あなたの人生、片づけます』について、『姑の遺品整理は迷惑です』も絡めてお話いたします。

まず、『あなたの人生、片づけます』です。

内容は、ブックデータベースよりご紹介します。

社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、一部屋だけ片づいた部屋がある主婦…。『部屋を片づけられない人間は、心に問題がある』と考えている片づけ屋・大庭十萬里は、原因を探りながら汚部屋を綺麗な部屋に甦らせる。この本を読んだら、きっとあなたも断捨離したくなる!

とあります。

ここ数年、足の踏み場のないほど汚い部屋を汚部屋と言ったり、ゴミを出さずに溜め込んだ家をゴミ屋敷と呼ぶようになりました。

そこまでひどくなくても、使わない物がたくさんあるお宅も多いのではないでしょうか?

「何かの時に使うかも」「高価だったのでもったいない」「思い出がある」「分別の仕方が分からない」など捨てられない理由はさまざまですが、重症の人には深~い心の澱(オリ)があります。

ゴミ屋敷と呼ばれるようになる人は、うつ病や認知症、セルフネグレクトといった精神疾患が影響しているともいわれます。

この小説では、そこまで重症ではありませんが、現実を受け入れられなくて辛い思いを抱えていたり、自立できなかったり、世の変化を受け入れられず、古い価値観そのままだったりと複雑な問題があります。それらの心の問題を解決して、本人が心から納得できなければ、ただ単に片づけてもすぐにリバウンドしてしまいます。心の問題をどう解決するかを考えて調整し解決してくれるのが、主人公の大庭十萬里です。

次に『姑の遺品整理は、迷惑です』です。

こちらも、ブックデータベースより紹介します。

姑が亡くなり、住んでいたマンションを処分することになった。業者に頼むと高くつくからと、嫁である望登子はなんとか自分で遺品整理をしようとするが、あまりの物の多さに立ちすくむばかり。
「安物買いの銭失い」だった姑を恨めしく思いながら、仕方なく片づけを始める。夫も手伝うようになったが、さすが親子、彼も捨てられないタイプで、望登子の負担は増えるばかりである。誰もが経験するであろう、遺品整理をユーモアーとペーソス溢れる筆致で描く長編小説。 とあります。

姑さんとの思い出を楽しみながらゆっくり片づけられれば良いですが、望登子の家も狭くて、一軒分を受け入れる余裕もありません。姑さんの賃貸マンションを返却するためには一刻も早く、ほとんど全てを分別して処分する必要があるけれど、遺品整理業社に依頼する金銭的余裕はありません。

大量のもう絶対使わない物が押し入れや天袋に所せましと仕舞い込まれていたので、引っ張り出し分別し、ゴミ収集の日時に合わせて、5階から重いゴミ出しに何往復もする。50代の望登子 体力的にも大変です。

この小説よりもっとひどくなり、床に物が溢れていると、つまずいたりしてケガの元になります。また、物を探す時間を取られ、有意義に過ごす時間も削られます。安心安全という意味でも片づけは必要なんです。

この小説では、70代の姑さんが突然死したのですが、誰しも人生はいつゴールが訪れるか分りません。ミニマリストとまではいかなくても、体力気力が有る時に、大切な物はまとめ、不要な物は片づけて、本当に必要なお気に入りの物に囲まれて生きていたいですね。そのためには、実際の片づけに入る前に心の片づけが必要なんですね。

表面に現れた状態は同じでも、この小説の様に、原因はいろいろで根深い心の問題があるのですね。心の片づけなくして家の片づけはできないようです。

自分のみならず、家族近隣を巻き込み、それぞれの問題を解決してくれる大庭十萬里。こういう人がたくさん居れば、世はとっても暮らしやすくなります。 

さて、このふたつの小説では本当に片付いたのでしょうか? 皆さんもぜひ読んでみてくださいね。

次回も垣谷美雨さんの著書について発信しますので、是非ご覧ください。

後悔病棟 希望病棟 ー自分の人生は自分のもの

さくら終活の大西です。

このところ、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そういうことあるよね。」と共感しきりですが、今回の小説では、あり得ない現象が起こって、一気に読んでしまいました。コミュニケーション能力と生き方が大きな二つのテーマだと感じます。

今回は、『後悔病棟』『希望病棟』について、こちらの『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』を少し交えてお話いたします。

2冊の内容は(「BOOK」データベースより)一部抜粋してご紹介します。

後悔病棟』については、

神田川病院に勤務する医師の早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、患者の気持ちがわからないのが悩みの種。ある日、ルミ子は病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の“心の声”が聞こえてくるのだ。-母に反対されて夢を諦めた小都子が目を閉じて願うと、“もうひとつの人生”へ通じる扉が現れる。聴診器の力で“あの日”へ戻った患者達の人生は、どんな結末を迎えるのか。夢、家族、結婚、友情。共感の嵐を呼んだヒューマンドラマ。

続編の『希望病棟』については、

神田川病院に赴任した女医の黒田摩周湖は、二人の末期癌の女性患者をみている。先輩のルミ子に促され、中庭で拾った聴診器を使うと患者の“心の声”が聞こえてきた。児童養護施設で育った桜子と代議士の妻で“従順な妻”として我慢を強いられてきた貴子の二人です。摩周湖の勧めで治験を受けた二人は快方に向かい、生き直すチャンスを得る。共感の嵐を呼んだヒューマン・ドラマ。 

この2冊とも人の気持ちが分らないと言われる女性医師が、不思議な聴診器を拾うところから話が始まります。

『2人にひとりがんになり、3人にひとりがんで死ぬ。』と言われる昨今ですが、ここで担当する患者は、末期がん患者で、余命数か月と宣告されています。がん細胞は増加して体は弱ってきますが、頭はしっかりしています。人生の終焉を意識して人生を振り返り、後悔で押しつぶされそうになっています。

そんな患者を担当する医師は頼りなく見えて、「担当医を変えて。」と言われます。

山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』これは、孫活で読んだ本ですが、今回の2冊に通じることがあります。「(患者と患者家族の)どんなふうに育ってきたのかといった背景を知っていれば・・・もっと優しい言葉をかけてあげられるはず。」(成田教授)の言葉です。「病を診るのではなく、人を観る」これは、(山中教授)の言葉です。

今回の小説の二人の医師は、本当は患者の気持ちが他の医師よりも分っているのです。ただ、コミュニケーション能力が低く、表現の仕方が言葉足らずなんです。これは、育ち方による自己肯定感の低さからきているんですね。(山中教授と成田教授の)この本で納得し、いかに家族の距離感が大切かを再認識しました。レジリエンス(ピンチを乗り越える力)が大切ともお話されています。

女医が、聴診器の力を借りて患者の心に寄り添うことで、患者は後悔を克服して心穏やかになります。女医も自己肯定感とレジリエンスを身に着けて、「担当医にしてください。」と言われるほど成長します。

また、死が迫っていた末期がんから奇跡的に良くなる患者もいます。生き直しの時間を与えられた彼らは、「今まで、会社人間だったけど、もっと家族や周りに愛情を持って接すれば良かった。」「周りに気を遣って、自分を抑えてきたけど、変わりたい。」等と考えます。

育ってきた環境によって、今の自分が作られたのは確かですが、自分の人生は自分のもの。自分はどうしたいか、これからどうなりたいかを優先し、行動することは大切です。

某保険のCMで「私はがんになって良かったと思ってるんですよ。」と言っている方がいますよね。人生に終わりがあることを意識したからこそ、人生の見直しをして、自分らしく充実した人生を送るようになったのですね。自分も他人も信じ、自分のために生き、人のために尽くす生き方を始めます。

「死ぬ時に後悔しない人生を送ろう。」とよく言われます。誰でもいつ何が起こるか分りません。普段から、自分に正直に後悔のない生き方を心掛けたいものですね。

次回も垣谷美雨さんの小説について発信していきますので、是非ご覧ください。

あきらめませんー若者から高齢者への支援は重く

こんにちは さくら終活の大西です。

この頃、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そんなこと言われるよね。」と共感しきりなんですが、今回は、政治についてで、2022年5月に出版された『あきらめません』です。

内容は、ブックデータベースよりご紹介します。

結婚して三十数年。共働きかつワンオペ育児を卒業し、節約を重ねて住宅ローンも返済完了。定年退職を迎えた霧島郁子がやっと手に入れた夢のセカンドライフは、夫の田舎へ移住したことをきっかけに音を立てて崩れていく。閉鎖的な地域社会、染み付いた男尊女卑―時代遅れな現実を前に打ちのめされる郁子だったが、ある日出会った銀髪の女性議員・市川ミサオの強烈な後押しで、なぜか市議会議員に立候補することに…!?この土地で生まれ育った落合由香も巻き込み、ミサオ(80代)、郁子(60代)、由香(30代)は、世代をこえて「私たち」を取り巻く問題に立ち向かう!       とあります。

折から参院選真っ只中ですね。連日、選挙カーから「よろしくお願いします。」と叫んでいる声が聞こえます。今は孫も大きくなったので腹も立たないけれど。孫が赤ちゃんの頃、やっと寝たと一安心したところへ選挙カーが大声で叫ぶ。途端にギャーと起きる。『赤ちゃんが寝ているのでお静かに願いします.』と大きな大きな立て看板を立てたいと思いましたよ。

議員さんには「我々人生残り少ない高齢者より、子どもや孫たちの住む将来の日本のためにしっかりやってください。」とお願いしたいです。この主人公の様に本当に若者が住みやすくて移住したい街にするにはと本気で考えて行動してくれる人はいるのでしょうか?

私は、孫たちに常々言っています。「このまま少子高齢化が進むと、あなた達若者は、我々高齢者に搾取され続けて『働けど働けど我が暮らし楽にならじ」だから、英語を始めとする外国語を習得して、搾取されない国で自分のために暮らしなさい。」と。

というのは、日本の高齢化の推移は下の図のようになっているので、現役世代の負担は増加の一途になりそうだからです。このグラフは内閣府令和3年版高齢社会白書の高齢化の推移と将来推計です。横軸は年で、1950年から2065年までです。縦軸は人口。グラフの下が高齢者でピンクが75歳以上、水色が65~74歳、赤が15~64歳の現役世代、黄緑が0~14歳です。我々高齢者の全人口に占める割合である高齢化率は赤い折れ線グラフで2060年には38.1%になっています。黄緑の折れ線グラフは、65歳以上人口を15~64歳人口で支える割合で、50年前の1970年には9.8人で一人の高齢者を支えていたけれど2020年には2.1人、2045年以降1.4人でひとり支えることになる推計です。高齢化率は増える一方で現役世代の人口は減る一方です。

次に社会保障費の負担率です。

まずは、後期高齢者医療制度です。第1回社会保障審議会 後期高齢者 医療の在り方に関する特別部会の資料です。平成20年にこの制度が創設され、負担割合は変わっていません。国・都道府県・市区町村の税金から50%、高齢者医療支援金として各医療保険(健保・国保)から40%。残りの10%が後期高齢者の保険料です。

次に介護保険制度です。こちらは厚生労働省の『介護保険制度について』という資料です。保険料として40歳~64歳の第2号被保険者が28%、65歳以上の第1号被保険者が22%、合わせて50%。残りの50%を国・都道府県・市区町村が負担し、税金で賄われています。

次に年金制度です。こちらは、厚生労働省HPの『教えて!公的年金制度 公的年金制度はどのような仕組みなの?』です。

「現行の公的年金制度は、現役世代が納めた保険料をその時々の高齢者の年金給付に充てる仕組み(賦課方式)を基本とした財政方式。その上で、経済の変動などにより、年金給付の支給に支障が生じないよう、過去に積み立てた積立金を活用しつつ運用している。と載っています。そして国民年金の支給額の2分の1を国庫(国の税金)が負担しています。

このように、社会保障給付に、現役世代から全人口の1/3の高齢者に対して支援しているのです。

終わりに、社会保障給付費(年金・医療・福祉その他)の推移(内閣府の資料)です。1950年から2017年までを表しています。これからも少子高齢化はどんどん進み、この負担は増加するでしょう。

このままでは、どこかの国の様に、若い優秀な人たちはどんどん海外移住するでしょうね。

現役世代の高齢者に対する負担増問題も少子化が解消すれば、全て解決します。経済だって上向くでしょう。

2.95こちらは岡山県奈義町の2019年の合計特殊出生率(一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均)です。同年の全国平均1.36に比べると2倍以上であることが分かります。奈義町は今もさまざまな子育て支援策を打ち出しています。少ない子どもを取り合いするより、奈義町のようにここで子育てしたいと思える環境があれば、どこでも子どもは増えていくのでしょうね。

少し前に『数年前の地方議会でのハラスメント発言の音声』が公表されていましたね。この小説の主人公霧島郁子は女性です。閉鎖的な地域社会、染み付いた男尊女卑、時代遅れな現実の中、これらの少子高齢化問題に対してどう対処したでしょうか?皆さんも是非読んでみてくださいね。あなたも読んだら郁子の街に移住したくなるかも。さて参院選。しがらみなく、本当に将来を見据えて活動してくれる霧島郁子のような候補者に投票しましょう。

次回も垣谷美雨さんの著書について発信しますので、是非ご覧ください。

四十歳、未婚出産 ー高齢者優遇から子ども優遇へ

さくら終活の大西です。

このところ、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。今回は、「そういう差別的なこといわれるよね~。」「この後どうなっていくのかな?」と興味津々の『四十歳、未婚出産』についてお話いたします。

内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

言うのか、言わないのか。産むのか、産まないのか。40歳を目の前にして思わぬ妊娠に揺れる、旅行代理店勤務の優子。お腹の子の父親である28歳のイケメン部下、頭の古い田舎の母親、妊婦を「腹ボテ」と言うパワハラ上司、不妊治療に悩む同僚、若さを誇る美人女子社員…。お腹はどんどん大きくなるけれど、本当のことはなかなか言えない。このままシングルマザーになって、やっていけるのか!?  とあります。

出生数、合計特殊出生率について

出生数は第二次ベビーブームを過ぎると年々減少しています。2019年の出生数が90万人を初めて割り込み、86万5,234人となり、「86万ショック」と呼ばれましたが、コロナ禍もあり、2020年生まれの赤ちゃんは84万832人。2021年は81万1604人とどんどん減少しています。

合計特殊出生率は、一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子どもの数の平均です。2005年に過去最低の1,289でした。その後、少子化対策が功を奏して持ち直していましたが、2020年は1,34、2021年には1,30になりました。

一方、21年の死亡数は145万2289人で、我が国の人口はどんどん減少しています。

産休育休について

労働基準法で、産前休暇は出産予定日の6週間前から、産後休暇は出産の翌日から8週間まで取れると決まっています。また双子など多胎妊娠の場合は、予定日の14週間前から産前産休を取得できます。
育児休暇は、女性は産後休暇が終わった翌日から子どもが1歳になる誕生日の前日まで取得できます。男性は、子どもが生まれた日から1歳の誕生日前日まで取得できます。
また保育園の空きがなかったり、配偶者の死亡・ケガ・病気などの理由がある場合は、育休は最長子どもが2歳になるまで延長することもできます。

厚生労働省の「令和2年度雇用均等基本調査」で、女性の育児休暇取得率は81.6%、男性は12.65%となっていますが、この小説の様なパワハラ・マタハラなど頭の古い上司は困ったものですね。

保育園事情

「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名のブログが話題になってから5年あまり過ぎました。この表からお分かりのように、待機児童は減少傾向にあるとは言え、保活でご苦労されている話を耳にしています。

今コロナ禍で、親御さんや周りの人の助けなしに子育てに奮闘していらっしゃる方も多いと思います。子どもは可愛いけれど、命を育むのは相当大変です。  

話は変わりますが、以前、老人マル優といって65歳以上対象に元本350万円まで預貯金の利子に対する利子税の非課税制度がありましたが、2005年末、高齢化率20,2%の時点で廃止になりました。それまでは、高齢者は優遇すべき存在でしたが、今や高齢化率28,8%で、2025年には30%を超えそうで3人にひとりは高齢者になります。

一方14歳までの子どもの率は、12%弱にまで下がっています。こんなに少子化が進んで、子どもたちが本当に少なくなっている現状で,今や優遇すべきは次代を担う子どもたちですよね。

昔は、子どもが多くて、子育てはどこでも見られました。今はあまり目にしないから、手探りの育児になって大変です。今後は、産休育休は当たり前で、復帰後は「将来を明るくしてくれてありがとう。」と、皆が感謝してくれる世になり、多様な生き方を認め、家族や周りを始め、社会全体で子育てを支える社会が望まれますね。

さて、この小説の優子さんはどんなお母さんになっているでしょうか?皆さんも読んでみてくださいね。次回も垣谷美雨さんの著書について発信しますので、是非ご覧ください。

相続手続き 戸籍謄本の集め方

こんにちは! さくら終活の大西です。

今回は、相続手続きのための戸籍謄本の集め方を記してみます。

何十年も生きてきた人生の清算をするのはとても大変です。その方の名義のものをひとつひとつ変更しなければなりません。変更するために、名義人が亡くなったことと相続人が誰かが分かるものが必要となります。それが戸籍謄本なのです。

戸籍謄本の請求方法

戸籍謄本も最終のものだけを取得すれば良いのではなく、出生から死亡まで全てを揃えなければなりません。

戸籍法の改正や機械化、或いは婚姻・転籍(本籍を移動)などで、戸籍は新たに編製されます。

なので、ひとつの役場で出生から死亡まで全ての戸籍謄本が取得できる人ばかりではないのです。

「親の本籍の変遷など聞いたこともありません。」という方も多いと思いますが、

まずは死亡時の本籍地の役場で「相続に使用するので出生から死亡まで全ての戸籍謄本が必要です。」と請求してください。

その役場にある戸籍謄本を発行してくれます。もし出生から全てが揃っていなければ、その前の本籍地は受け取った戸籍謄本を見れば記入してあるので、そちらの役場へ請求します。それでも揃わない方は、繰り返し手続きをしてください。

「遠くて行けないわ。」という方は、その役場に「相続で使用する。」と電話相談して、郵便で請求する方法もあります。

必要な手続きの把握

戸籍謄本の請求方法は分りました。

まずは、それがどんな手続きに必要なのか把握しましょう。

公的年金、銀行や保険会社、証券会社、NTTとスマホ・不動産などいろいろな相続に必要です。

それぞれの機関に電話して、相続の手続きに何が必要かを聞いてください。

そして下の様な表を作ると分り易いです。

戸籍謄本等原本を提出する機関と原本をコピーして返してくれる機関とがありますので、コピー可の機関から手続きをして、戸籍謄本等原本が必要な機関は後で手続きしてくださいね。

戸籍謄本等原本が必要な機関の部数を取得してください。

必要な書類の表の作成


 
公的年金A銀行B銀行C証券D保険NTTスマホ不動産
戸籍謄本(被相続人) 
印鑑証明(相続人)   
相続人の同意書    
本人確認証明書(受取人) 〇

注意点

相続人の同意書は、その機関に用紙がありますので、受け取って相続人全員で記入します。

もちろん、遺産分割協議書を作成すると同意書は不要ですので、それぞれの機関に相談してください。

公的年金は、マイナンバーとリンクされていれば、死亡届・謄本等は不要です。ただし未支給年金・遺族年金の請求をする場合は戸籍謄本等は必要になりますので、年金事務所にご相談ください。

死亡保険金請求には、死亡診断書等が必要ですので、保険会社にご相談ください。

相続人の戸籍謄(抄)本が必要な場合もあります。

なお、戸籍謄本の添付に代えて、法定相続情報一覧図を添付することでも手続きが行えます。

法定相続情報一覧図とは

平成29年5月29日(月)から,戸籍謄本又は抄本及び除籍謄本の添付に代えて,登記官が作成した法定相続情報を記載した書面(法定相続情報一覧図)の写しを添付することができるようになっています。

法定相続情報一覧図とは、戸籍に基づいて、被相続人(故人)の法定相続人がだれになるのかを法務局登記官が証明したもので、簡単にいえば、「1枚で相続関係を示した公的証明書」です。

出生から死亡まで全ての戸籍謄本を取得し、法定相続情報一覧図を作成して、申出書に記入して登記所で作成してもらいます。これを機関に提出することで、戸籍謄本の提出は省略できます。

登記所への手続きをするのと、戸籍謄本をそれぞれ提出するのとでは、手間はどうなのかをご検討くださいね。

以上は、基本的な相続の必要書類です。個々の事情により、必要書類は変わってきますので、ひとつの目安として、各機関にご相談ください。

うちの子が結婚しないので―老後の心配 年金の仕組み 

―老後の心配 年金の仕組み

このところ、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。我が家もそうなのよ。」と共感しきりです。

今回は、『うちの子が結婚しないので』についてお話いたします。

内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

老後の準備を考え始めた千賀子は、ふと一人娘の将来が心配になる。 28歳独身、彼氏の気配なし。自分たち親の死後、娘こそ孤独な老後を送るんじゃ……? 不安を抱えた千賀子は、親同士が子供の代わりに見合いをする「親婚活」を知り参加することに。しかし嫁を家政婦扱いする年配の親、家の格の差で見下すセレブ親など、現実は厳しい。果たして娘の良縁は見つかるか。親婚活サバイバル小説!

この本を読んで一番思ったことは、『こんなに親が頑張らないといけないの?』ということです。そう言えば、ほんの2~30年前には仲人さんが居て、「あの人はどう?」「この人合うと思うよ。」とか、言葉は悪いけど、うるさいくらいお世話してくださいました。今は婚活アプリとか婚活パーティなどいろいろあるにはあるのでしょうが、実態はどうでしょうか?

生涯未婚率(50歳まで未婚)は、50歳時の未婚割合1をみると、1970(昭和45)年は、男性1.7%、女性3.3%でした。その後、男性は一貫して上昇する一方、女性は1990(平成2)年まで横ばいでしたが、以降上昇を続け、(2010(平成22)年国勢調査)では男性20.1%、女性10.6%、2015(平成27)年は男性23.4%、女性14.1%と、それぞれ上昇しています。2015年の国勢調査の結果に基づいて出された推計は、これまでの未婚化、晩婚化の流れが変わらなければ、今後も50歳時の未婚割合の上昇が続くと予測しています。

次は、令和3年版高齢社会白書から『高齢化の推移と将来推計』です。

1950年から2065年までを表しています。我が国の人口は、2010年をピークに減少しています。下からピンクとブルーが65歳以上で、赤が現役世代、14歳以下が黄緑です。ご覧いただくと現役世代と子供の減少が続くのがお分りいただけます。高齢化率は赤い折れ線で2020年は28,8%、2065年には、38,4%と推定されています。

年金制度の仕組みは厚生労働省年金局の資料から、ご覧のとおり、1階が国民年金これは20歳~60歳まで強制加入。2階が厚生年金。会社や役所勤めの人。3階は企業年金・個人年金です。

年金の平均受給額は、厚生労働省が発表する「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、 年金の平均受給額は、国民年金がおよそ5.6万円、厚生年金がおよそ14.4万円 です。

生命保険文化センターの令和元年度生活保障に関する調査によると、夫婦2人世帯の老後の生活費用の目安は、最低日常生活費が約22.1万円、ゆとりある老後生活費が約36.1万円、実際の老後生活費が約27.1万円(単身世帯は約15.2万円)となっています。

これらの調査結果から老後2千万円問題を指摘されているのです。

老後生活において、年金受給額は重要です。夫婦ふたりの年金だといくら。ご自身の年金はいくらと年金定期便などで把握しましょう。マネープランもしっかりと立てておく必要があります。

私が20代の始め、もう40年昔のこと、こちらは田舎なので、「24歳女性はクリスマスケーキと言われ、25歳を過ぎると売れ残り。」と言われました。今そんなことを言うととんでもないことになりますが。今では結婚だけが人生でなく、いろいろ多様な生き方が認められるようになりました。人生は修行だとも言われます。今が楽しければ良いというだけではなく、ずっと幸せのために、ライフプラン・マネープランをしっかりと立てて、幸せな人生を送りましょうね。

さて、この小説の千賀子さんの娘さんは良縁に恵まれたでしょうか?皆さんも読んでみてくださいね。次回も垣谷美雨さんの著書について発信しますので、是非ご覧ください。

70歳死亡法案、可決 ーどうなる?社会保障

こんにちは さくら終活の大西です。

この頃、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そんなこと言われる。そういう見方もあるのね。」と共感しきりです。

今回は、『70歳死亡法案、可決』についてお話いたします。

小説とは言え、あり得ない法案ですよね。むかしむかし姥捨て山があったそうな。という昔話はありますけどね。私の周りの70歳といえば、すごくパワフルですよ。かくいう私も残り8年です。

内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、宝田東洋子は喜びを噛み締めていた。我侭放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘とみな勝手ばかり。やっとお義母さんが死んでくれる。東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて…。すぐそこに迫る現実を描く衝撃作!                           とあります。

衝撃的なタイトルですが、この小説のテーマは、長男の嫁ひとりにのしかかる家事、介護・周りの無理解・感謝のなさを始め、ひきこもり・ブラック企業等と社会問題満載です。

まず我が国の高齢化の現状について少し説明します。

こちらは、人口ピラミッドです。この表の下側が0歳、上が100歳。横軸が人数です。生き物の正常なピラミッドは0歳が最多で上にいくほど減少するものですが、我が国では少子高齢化が進んでいます。この図では、1990年、2013年、2025年、2060年とこのように変化していきます。

平均寿命は、男性81,64年、女性87,74年。健康寿命、男性は、72,68歳、女性75,38歳。健康上の問題で日常生活に制限がある年数は、男性8,96年、女性12,36年となっています。この期間が全部要介護状態とは限りませんが、人生の集大成の時期には不具合を抱えて過ごすことになりそうです。

そして、100歳を超えた方の人口は、86,510人となっています。みんな健康長寿なら良いですけどね。

令和3年版高齢社会白書によると高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は28,8%です。

こちらは、1950年~2016年までの社会保障給付費の推移グラフです。年金・医療費・介護費等、社会保障給付費は年々増加して、財政を圧迫しているのは、隠しようのない事実です。男性の平均寿命1950の59.57 から2016の80.98,女性も同じく62.97から87.14と66年間で20年以上伸長したので、当然と言えるでしょう。

2025年には、団塊世代がみんな75歳の後期高齢者になり、益々社会保障費は増加します。国はそれを抑えるために、入院病床を減らしたり、在宅での医療介護を進めたりしています。

介護を表す言葉で、老々介護・認々介護・介護死傷事件・ヤングケアラー・介護離職・介護別居・介護離婚等、どれもマイナスイメージがありますね。皆が、ハッピー介護とか笑顔介護になれば良いですよね。

人口体系は変わっても、人々の意識はなかなか変わっていないのが現状で、介護する立場の時、真面目で優しい人は、口は出すけど手も金も出さない人に利用される。みんなから押し付けられて疲弊し、ある日突然爆発する。そんな場面を多々見てきました。この主人公も爆発して、やっと周りが大変さを理解したのでした。介護者は、ひとりで抱え込まずに、介護サービスを上手に利用して、周りの人々を上手に巻き込んでうまく対応する方法を取りたいものです。

そして、我々全員が、健康寿命を延ばすために、食生活に注意して、適度な運動・良質な睡眠をとる等、生活を見直したいものです。

人間誰しもこの世に生まれてきたら、必ずゴールはやってきます。笑顔と健康を第一に、ゴールに向けて人生に悔いなく、思い残すことなく、今日やれることは今日して、子どもや孫世代により良い社会を残せるように生きて旅立ちたいなと改めて思いました。

さて、70歳死亡法案 どうなったでしょうか?皆さんも読んでみてくださいね。

次回も垣谷美雨(カキヤミウ)さんに著書について発信しますので、是非ご覧ください。

うちの父が運転をやめません ー止められない事情とは?

こんにちは  さくら終活の大西です。

この頃、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そんなこと言われるよね。あ~そういう解決法が良いのね。」と共感しきりです。

今回は、『うちの父が運転をやめません』の感想をお話いたします。

内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

「また高齢ドライバーの事故かよ」。猪狩雅志はテレビニュースに目を向けた。そして気づく。「78歳っていえば…」。雅志の父親も同じ歳になるのだ。「うちの親父に限って」とは思うものの、妻の歩美と話しているうちに不安になってきた。それもあって夏に息子の息吹と帰省したとき、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、あえなく不首尾に。通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して…。果たして父は運転をやめるのか、雅志の出した答えとは?心温まる家族小説!

とあります。

以前は、切れるのは若者、暴走運転するのも若者でした。今やどちらも高齢者です。若者はそもそも少ないし、草食系でだんだん穏やかになっている印象があります。

高齢者はどんどん寿命が延びていますが、認知症でなくても判断能力や体力・瞬発力は下がってきます。

高齢者の運転免許に年齢制限をしたら良いという案もありますが、一言で高齢者と言っても現役世代に引けを取らない方もたくさんいらっしゃいます。

都会は公共交通機関が充実しているので良いですが、田舎ではバスの本数も減ってしまい、廃止されている所も多いです。そしてバス停まで行くにも距離があります。つまり、移動手段は車・バイク・自転車・徒歩になります。買い物に行くにも距離がありますし、帰りは荷物も重いので、乗り物がなければ買い物難民になり、生活できないのです。都会の人は「それならタクシーを呼べば良いじゃない。」とお思いでしょうが、タクシー自体も少ないし、タクシー会社も遠いし実用的ではないのです。

現役世代は都会、親は田舎で暮らしているケースがほとんどで、高齢になってもやはり生活には車が必要です。現役世代が田舎にUターンしようにも自分のしたい仕事がない。今、リモートワークが進んできたとはいえ、皆がそうではないし、子どもの学校の都合もあり、すぐに田舎へという訳にもいかないと、なかなか難しいです。

行き先を入力すれば連れて行ってくれる自動運転の車が望まれます。でも、その入力ができなければ乗れません。いや、スマホのように話しかければ理解してくれるようになるかも知れませんね。でもこの自動運転車の実用化もすぐにとはいきませんね。

私の地区の近くにバス会社の車庫があるのですが、このコロナ禍で、観光バスがずらっと並んでずっと停まったままです。このバス会社の社員さんはどうされているのかと心配になります。定期バスは相変わらず大きなバスが走っていますが、乗客がゼロの時もあり、本当に乗客は少ないです。そのバス会社の模様のマイクロバスとかワゴン車にしてコミュニティーバスの様にきめ細かく走ってくれれば、経費節減にもなるし、高齢になってももっと生活しやすいのではないかと思いますが、届け出とか認可とか難しいのでしょうね。

半世紀前は、徒歩圏内にお店がありました。その後、車社会になってスーパーマーケットが出店して、地域の店は閉じました。移動販売車が買い物難民救済や地域のコミュニティとして成功している例もありますが、ボランティアでは続かないので採算の取れる地域でということになります。

いろんな解決法が考えられますが、どれもすぐにとはいきません。高齢者が車を止めたらどこにも出かけなくなり、認知症が進むという問題点もあります。

親も今まで安全運転を通してきたプライドがあり、まさか自分が重大な事故を起こすなんて考えもしない。「若い者に迷惑を掛けたくない。」とつい自分で運転するのです。

運転免許更新検査も厳格化されていきます。

ある日突然運転機能が下がる訳ではないので、親に頭ごなしに「やめて」言うのでなく、まずは、「夜はやめたほうが良いよ。」次に「雨の日。」そして「通学・通勤時間帯。」と少しずつ運転する機会を減らすように、機嫌の良い時さらっと言ってみるとかはいかがでしょうか。そしていよいよ止めた方が良いと判断した時には、止めてもらいましょう。子供たちが言っても聞いてもらえないようなら、親に影響力のある人にお願いしてみましょう。私は主治医から言ってもらいました。親が運転を止めたら、家族が運転手をすることになり、負担は増えますけどね。

さて、この『うちの父が運転をやめません』では、どんな解決になったでしょうか。皆さんも読んでみてくださいね。

夫の墓には入りません ―婚姻関係終了届

『夫の墓には入りません』(2019年発行)を読み返してから、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そんなこと言われる。この世代の人はそういう価値観を押し付けるよね。」と共感しきりです。

今回は、『夫の墓には入りません』の感想をお話いたします。

内容は、(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

ある晩、夫が急死。これで嫁を卒業できると思いきや、舅姑や謎の女が思惑を抱えて次々押し寄せる。“愛人”への送金、墓問題、介護の重圧…がんじがらめな夏葉子の日々を変えたのは、意外な人物と姻族関係終了届!?婚姻の枷に苦しむすべての人に贈る、人生逆転小説。

とあります。

一番心に突き刺さった言葉は、「つぶしてもいい人間」。その説明としては

「しっかりしていて、我儘をいわない。大人しいが芯は強い。その上相手の気持ちを優先するし、誠実なので、誰だって頼りにしたい。信用に足る人間。」非の打ち所がない人と「褒められているように感じるが、実は便利に使われている。」「どこの会社でもそう。できる人間に仕事が集中する。」

そうそう。全くそうです。

会社では、誠実なだけの人は利用されて、心身共に疲弊しきって辞めていく。親族関係でも『自分さえ我慢すればうまくいく』と我慢する人もいる。特に介護問題では、口は出すけど手も金も出さない人に利用される。配偶者の両親・自分の両親・おじおば・兄弟とみんなから押し付けられて疲弊し、ある日突然撃沈する。そんな画面を多々見てきました。できる人はひとりで抱え込まずに、周りの人々を上手に巻き込んでうまく立ち回る方法を考えたいものです。

がんじがらめな日々を変えたという『姻族関係終了届』は、死後離婚とも言われます。

配偶者が亡くなっても、配偶者の血族との姻族関係は継続するため、姻族関係終了を希望する場合に役所に提出する届出のことで、姻族の同意は不要です

配偶者の相続権や遺族年金受給には影響はありません。また、 姻族関係終了届では、氏や戸籍の変動はありませんから、婚姻前の氏に戻すには、復氏の提出が必要になります。一度姻族関係終了届が受理されると、姻族関係の復活できません。

一番心配なのは今後の扶養義務です。直系血族(父母、子、祖父母、孫など)と兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があります。
姻族はこれに含まれないので、嫁と亡くなった夫の親(舅・姑)の関係では、原則として扶養義務を負いません。ただし、特別な事情がある場合のみ家庭裁判所が義務を負わせることができるとされています。この届が受理されれば、配偶者の血族の扶養義務を負うことはありません。

この小説で、夫が亡くなっています。その後、舅姑の相続が発生した場合、嫁は、遺言書で遺贈してもらうか、養子縁組していなければ相続できません。被相続人(亡くなった人)の介護や看病に貢献をした「親族」には「特別寄与料」として金銭請求権が認められるようになりましたが、それが認められる親族は、法定相続人ではない親族なので、遺産分割協議に参加する権利はありません。つまり難しいということです。

終活相談でも「夫の墓には入りません。」という女性は結構いらっしゃいます。夫と同じが嫌というより、死んだ後までそれまでの人間関係の続きで夫の親族と一緒に居るというのが嫌だという方が多いのです。解放されたいのです。単なるお墓の問題ではなく、人間関係の話なのです。あなたのお宅は、いかがですか。

誰しも辛い時不安になることはありますが、あまりに頼り過ぎると相手は重過ぎて逃げ出したくなります。お互いの距離感を保ち、普段から話し合って快い人間関係を続けていきましょう。