自然死のすすめ

終活関連本の紹介第3弾です。

幻冬舎新書から出版された中村仁一著の大往生したけりゃ 医療とかかわるな 「自然死」のすすめ』 です

我が国の医療は、早期発見早期治療が、浸透しています。このタイトルは、それを真っ向から否定するもので、びっくりしますよね。どういうことかなと読んでみました。

今回も内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

『3人に1人はがんで死ぬといわれているが、医者の手にかからずに死ねる人はごくわずか。中でもがんは治療をしなければ痛まないのに医者や家族に治療を勧められ、拷問のような苦しみを味わった挙句、やっと息を引きとれる人が大半だ。現役医師である著者の持論は、「死ぬのはがんに限る」。実際に最後まで点滴注射も酸素吸入もいっさいしない数百例の「自然死」を見届けてきた。なぜ子孫を残す役目を終えたら、「がん死」がお勧めなのか。自分の死にどきを自分で決めることを提案した、画期的な書。 』とあります。

私事ですが、お正月に還暦同窓会がありました。この年になると、ご多分に漏れず、話題は、主に3つ。1.孫のこと、2.親の介護のこと、そして3.自分の病気のことです。

「私、○○がんだったの。」「僕は○○がんで今度手術するんだ。」という声があちこちから聞こえました。がん適齢期になったんだなあと感じます。でも、この年なら、まだきちんとがんと向き合って治療しないといけませんよね。

先日は、知人の86歳のお元気なお父様、医師から「90代になっていれば、手術を勧めないけど、まだ80代だからがんの手術をしましょう。」と勧められて、手術されました。今まで楽しんでされていた畑仕事はできなくなり、QOLは下がりましたが、日常生活は普通にされているとのことで、良かったです。

この本では、がん治療についてもさることながら、高齢者への過剰医療、延命治療についても触れられています。病院の医師は、病気を治そうと懸命に検査・治療してくれますが、中村医師は、老人ホームの付属診療所長ですから、高齢者の負担になることは極力せずに、穏やかな死を迎えさせてあげたいというお考えです。私は、こちらが興味深く、この本は、延命治療を考えるためのバイブルとなりました。

この度の新型ウィルス感染拡大の初期に、「日本人の早期発見早期治療の考えによる通院で、院内感染が広がる。」と危惧されました。そのため、老化による症状で我慢できる方や、軽症で自分の治癒力で治そうと、病院に行くのを控えている方が増えて病院の経営状態が………と報道されています。そして、「受診を控えたために、症状が悪化する人もいる。」とも言われます。

薬には副作用が付き物です。高齢者の中には、いろんな診療科から合わせて1日20種類もの薬を服用されている方もいらっしゃいます。個々の薬が作用しあって、副作用も相当だと想像します。そういう方は、減薬すると調子が良くなったという話もよく聞きます。

通院も薬も闇雲に減らせば良いというものではありませんが、この機会に、適度な治療・投薬を心掛けて、穏やかなゴールを目指したいものです。

幸せなゴールを迎えるために

平年より少し遅れて梅雨入りしました。 災害など無い、適度な雨を希望しますね。

さて、今回は、終活関連本の紹介第2弾です。

命を考える終活を推奨しているさくら終活にと、友だちの絵本屋さんからご紹介いただいた絵本です。

この絵本、ブロンズ新社から出版された『マールとおばあちゃん』です。ベルギーのティヌ・モルティールさん作で、江國香織さん訳の絵本です

わが国の高齢化率は、世界1ですが、欧米諸国も高齢化が進んでいて、命の問題は、どこも同じです。

あまり詳しく言うと、著作権侵害になりますから、【「BOOK」データベースの商品解説】からご紹介します。

『マールとおばあちゃんは大の仲よし。似た者同士のふたりは心で強く結ばれています。しかしある日、おばあちゃんは倒れて、言葉を失います。まわりの大人たちは、おばあちゃんは別人になったと思いますが、孫娘のマールは、おばあちゃんの目に、くちびるにあらわれる言葉のかけらに、祖母の思いを読みとることができるのです。人の可能性を信じる愛の絵本です。』となっています。

大病をすると、一気に体のクオリティが下がって、できないことが増えていきますよね。病院スタッフや家族にはおばあちゃんの意思を読み取ることができなくても、マールは、いつも、心から理解し合っていたからこそ、おばあちゃんの意思を読み取って、希望どおり実行できたのです。

私も父を見送る時、同じような経験をしました。本人は一生懸命話しているつもりでも、発声がハッキリせず、口の中でモゴモゴ言っていました。いつも看病していた母や私は、父の意思を理解できましたが、他の身内は、読み取れずに、適当に話を合わせていました。いつもは、しっかりとした威厳のある父でした。が、体も心もどんどん弱って、弱音も出ました。元気な私たちの常識では、あり得ないものが見えたり、言ったりと夢の中にいるようでした。そういう時も否定せずに、心の声を聴き、不安な気持ちに寄り添うことにより、後悔のない見送りができたと思っています。

「介護する人は俳優になれ。」と言われますよね。「あんなに聡明だった私のお母さんが…。」と腹が立つことも多々あり、なかなか難しいことですが、その方の生きてきた歴史やその方の気持ちを理解して寄り添うことが大切ですね。

でも、実際には、「親御さんが高齢者施設に入所してしまえば、任せっきりで全く会いにも来ない」という話もよく耳にします。それぞれの家族にいろんな事情があり、一概には言えませんが、後悔のない対応が望まれます。まあ、それまでの人間関係で難しい場合もありますよね。

『因果応報』=人はよい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるということ。(goo辞書)

『情けは人の為ならず』=人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる。(goo辞書)

『ひとは生きてきたように死んでいく』=「ひとは生きてきたように死んでいく。しっかり生きてきた人はしっかり死んでいく。周りに不平を言いながら生きてきた人は私たちスタッフに不平を言いながら亡くなっていく。感謝しながら生きてきた人は感謝しながら、ベタベタ生きてきた人はベタベタと死んでいく。これまでの生きざまが死にみごとに反映する。よき死を死すためには、よき生を生きねばならない」医師:柏木哲夫さん「『死にざま』こそ人生より」

今の世の中、いつ何が起こるか分かりません。幸せなゴールを迎えたいと思えば、笑顔で、周りの人に優しく、そして、感謝の気持ちを表してより良く生きておきたいものです。

すべてのものに寿命あり

世の中は、Withコロナのフェーズに移って、少しずつ動き出しましたね。

そんな中、「終活でお勧めの本は、ありますか?」という質問をいただきましたので、終活関連本の紹介をしていきます。

私は、終活セミナーで、ひとつしかない命、大切に考えましょうと、お話をさせていただきますが、分かりやすくお伝えしたいと思い、絵本も取り入れています。

今回は、そんな絵本の中から、とっておきの一冊をご紹介させていただきます。

この絵本、いろは出版から出版された『寿命図鑑』です。

終活セミナーの始めに、この絵本を紹介すると、子どもから高齢者まで、「そうだよね~。何にでも寿命はあるよね。」と命について考えていただく良いきっかけとなり、理解が深まります。

余談ですが、うちの孫は、この本で、いろんな寿命を繰り返し見ていますよ。

それでは、帯をご覧ください。「『みんな、いつか、死んでしまう』ということを知って、一生懸命生きていってほしい。そんな想いを込めて、動物、人、建築物、機械、天体・・・・この世の全てを13カテゴリーに分けて、…。」という、万物の寿命をあつめた絵本のような図鑑です。

当然ですが、大きくても小さくても、物でも生き物でも、期間の長短に関わらず、全てのものに終わりがあります。

もちろん、人間もですね。 細胞レベルで考えると、日々新陳代謝が行われています。お顔のお肌のターンオーバーを意識して、お手入れしますよね。 髪の毛も…、いやこれは差しさわりがあってはいけませんから、触れないことにします。

また、内臓が, 特別意識しなくても、それぞれの役割を果たしてくれているから、生きていられます。

こうして普通に暮らしていると、このまま永遠に生きている気がして、いずれ寿命が尽きることなど想像しませんね。

でも、早かれ遅かれ、終わりは必ず訪れます。生き物の死亡率は、100%です。終わりがくるからこそ、夢を叶えようとしたり、愛したりします。 花は、散るからこそ美しいと感じます。 壊れたり無くしたりするから、周りのものを大切にするのです。

いずれはゴールの時がくるから、私たちは、一瞬一瞬を大切に生きて、したいことは優先順位をつけてできる時にする!  会いたい人には、自分が動けるうちに会っておく!

いずれはくるゴールの時までどう過ごして、その時をどう迎えたいかをしっかりと考えて、「あ~良い人生だった。」と満足して迎えるために、命を考える終活が重要な役割を持つのですね。

円満相続のための遺言書

新型肺炎による緊急事態宣言が延長されました。新規患者数が減少傾向にあるとは言え、以前として、リスクが高い日々が続いています。

このリスクに対して、3つの備えがあり   

前回は、②エンディングノートについて、命・お金・交友関係が大切だとお話しました。

エンディングノートは、ご自身の現状や気持ちを整理して記入し、伝えるもので、法的な根拠にはなりません。

法的根拠を持つものは、③の遺言書です。

「書いたら死にそうな気がする」とか、「うちは、家族仲が良いから大丈夫。」「資産がないから大丈夫」とおっしゃいますが、作成できたら安心するし、裁判沙汰になった相続のうち、3分の1は相続財産が1000万円以下です。

このように、そうぞくには、3種類あります。

親御さんのご存命のうちから仲の良い、ご家族の想いをつなげている良い想続、普通の関係のご家族の相続、元々仲の良くないご家族は、争う争族。または、争い続ける争続です。親御さんがいらっしゃるうちは、2:6:2ですが、亡くなってしまうと、普通のご家族の6が2に変わり、2:2:6になります。感情のかけ違いで争っているのもよく目にしました。

それでは、遺言書についてお話します。遺言書には、身分関係・財産関係を記します。

身分関係は、例えば、「この子を認知する」等です。

財産関係については、何を誰にいくら相続させるかという意思表示をするのです。

何をのところの資産は、エンディングノートで既にお金として把握しましたね。預貯金・有価証券・不動産・貴金属・書画骨董・忘れてならないのが、ある人は借金、連帯保証人などです。

次は、誰に相続させるかです。ここで法定相続人を考えてみましょう。

先日お亡くなりになった志村けんさんはおひとりでしたね。法定相続人は、ご両親がお亡くなりになっているので、お兄様ですね。著名な方なので、きちんと遺言者を作成されていたと思います。要らない世話ですね。

では、あなたご自身の法定相続人はどなたでしょうか。法定相続人に相続させる場合も重要ですが、法定相続人以外の方に、例えば、お世話になった方、団体に遺贈しようと思えば、遺言書に記しておかないと実行できません。

次にいくらという分け方です。法定相続分、遺留分にも留意する必要があります。

そして大切なことがあります。少額の預金証書が、後から出てきて、 また最初から書類をという方も多々いらっしゃいます。全ての資産について書くことが大切で、その書き方があります。

また、遺言執行者を指定すると手続きがスムーズです。

そして、遺言書の形式ですが、よく利用されているのが、自筆証書遺言公正証書遺言です。

遺言書は、作成の仕方に決まりがあり、せっかく作成しても、書き方が違っていれば無効になります。一昨年の法改正でいろいろ変更もあります。詳しくは、セミナーや個別相談で説明させていただきます。

今の時代、いつ何が起こるか分かりません。「まさか、自分が!」が起こって、慌てるのではなく、転ばぬ先の杖、備えあれば、憂いなしです。この機会にしっかりとお考えください。

エンディングノートのポイント

新型肺炎で岡江久美子さんがお亡くなりになりました。同じ世代の方で,ご活躍されていたので、とても悲しいです。4月3日に発熱して、20日間での旅立ちです。

悲しいことに、急な入院のリスクが高まっています。

急に入院・悪化・最悪死亡となるかも知れないそんな時、ご自身のため、愛するご家族の負担を減らすための次の3つの対応があります。

今回は、②エンディングノートを書く。について説明します。

エンディングノートは、様々な項目についての欄があって、自分の現状や想いを整理して記入するものです。その中でも、次の3つのことは、すごく重要です。

→病歴(いつ、何の病気でどこにかかったか。)、あれば持病、かかりつけ医(特に内科)、服用薬、どこまで治療をしたいか、延命治療はどうするか?等を記入します。臓器提供や献体の希望があれば、それも書きます。

お金→預貯金は、どこの金融機関にどんな種目があるか。各種保険は、どこの保険会社で加入しているか。有価証券等、証券会社はどこか。最近は、ネット金融もありますから、必ず記入してください。IDやパスワードも必要ですよ。クレジットカードはどこを利用しているか。電子マネー・貴金属・書画骨董もあります。不動産も。そして、忘れてならないのが、借金がある場合や連帯保証人になっている等、負の財産は必ず記してください。

交友関係→年賀状の名簿ではないので、全ての人の名簿でなくても良いのです。誰の親族はこの人にとか、趣味とか加入している会では、メンバーの方に連絡してくれそうな方、代表者の方の名前をフルネームで、電話番号と続柄を記入しておくと良いですね。いざという時、お世話になった方にご連絡できますよね。もちろん、すべての方の名簿も作成しておくと、挨拶状を出すのに役立ちます。

エンディングノートの全てを書くのが理想ですが、最低限これらのことは、記入してください。

そして、記入することだけが目的ではありません。ご家族やご親族、お世話になる方にしっかりと伝えておいてください。

StayHoomの今の挨拶は、「今を生き延びて、元気な顔で、またお会いしましょう。」です。

エンディングノートには、法的な根拠にはなりません。気軽に書いて、気持ちが変わったら、その部分を書き直せば良いのです。

今、この厳しい時だからこそ、ご自身の現状や今後のあり方を見つめ直し、しっかり記入し、想い・現状を話し合いましょう。

急な入院への備え 1

新型肺炎による緊急事態宣言が、全国に拡大されました。

今回の新型肺炎は、無症状、軽症の方も80%と言われていますが、軽症でも、高熱が何日も続いて本当に苦しい日々だそうです。残り20%は酸素吸入が必要なほど重症化し、急激に悪化して助からない方もあります。 

ところで、あなたは、終活や防災のための準備をされていらっしゃると思いますが、今回のような病気や入院に対する備えは、充分でしょうか?

先日、100日後に死ぬワニ というインスタが話題になりましたね。100日と分かっていても、ドキドキはらはらしながら読みました。今回の肺炎は、症状が出て、たったの1~2週間で、旅立つ方もあります。

もし急に入院・悪化・最悪死亡となったらどうなるでしょうか。周りの方の困惑は相当なものがあると思います。

そこで、今、何をするべきかを考えてみましょう。

ご自身と愛するご家族の負担を減らすためには3つの備えがあります。

  • 入院セットを作る。 
  • エンディングノートを書く。
  • 遺言書を作成する。  

今回は、入院セットを作るについて、お話します。

入院セットで思い出すのは、私の母です。父の晩年、いつ入院になるか分からないからと、常時、セットを作っていて、季節ごとに入れ替えもしていました。私はといえば、数十年前、お産の時に作りました。それっきりです。 

以前、ちょっと先輩の女性が足首をけがして受診すると,骨折していて即入院となりました。でも、「家族が物の位置も分からず、誰も準備してくれないので、一旦帰って準備します。」と痛い足で帰宅して準備したと聞いたことがありました。その時は他人事として聞き、「大変だったね」で終わっていましたが、やはりこの年になると、いや若くてもいつ何があるか分かりません。ちゃんと、恥ずかしくない備えが必要だと思います。

用意するものは、パジャマや着替え、湯吞ティッシュ、タオル、歯ブラシスリッパ等です。常時入れておく訳にはいきませんが、健康保険証、お薬手帳などは必需品ですね。

急激に症状が悪化した場合、準備などできませんから、ここにまとめて置いてあるということを、家族や世話をしてくれる人に話しておくと良いですね

天災・人災・目に見えないウィルスと、自分の身にいつ何が起こるか分かりません。「手洗いうがい消毒を徹底していたのに、まさか、自分が!」と、テレビでおっしゃっている方もありました。

何かが起こりかけてあわてないように、外出自粛の今、前もってできることをしておきましょう。

呼吸不全の治療

悲しいことに、新型肺炎の患者さんがどんどん増えていますね。テレビをつければ、ずっとその話題です。

今回の新型肺炎は、いろんな薬も投与されていますが、呼吸不全の治療も重要です。

どんな治療があるのでしょうか。その治療のイメージをご覧ください。

  • まずは、鼻カニューレ、この管で毎分5Lまでを目安として酸素吸入をします。呼吸困難の緩和、身体各器官の機能の酸素供給を正常に保つことを目的としています。 1cmほどを鼻腔に挿入して、チューブを耳にかけて固定して、酸素を投与します。チューブの装着は鼻腔のみなので、患者さんへの負担が少なく、装着したままでも、会話や食事が可能です。
  • 症状が進み、毎分6Lを超える酸素が必要になると、酸素マスクで鼻と口から酸素吸入します。ポリープなどで、完全に鼻腔が閉塞している患者さんには酸素投与の効果があります。
  • 肺炎が重症化して、自力で肺に酸素を取り入れられなくなると、人工呼吸器を用いて機械の力で肺に酸素を送ります。人工呼吸の目的は、酸素付加と二酸化炭素排泄を補助することと呼吸仕事量の軽減です。
  • それでも症状が改善しないときには、ECMO(エクモ)(人工心肺装置)を使って血液を体外に循環させて酸素を直接注入して体内に戻します。ただし、ウイルス感染の影響で全身状態の悪化が止まらないと、ECMOを使っても助かる見込みは低くなります。

ここまで、呼吸不全の治療イメージでした。こうしている間も医療現場では懸命の治療をしてくださっていて、感謝ですね。

起こってほしくないことには、「縁起でもない」と、蓋をしがちですが、起こりうる最悪の事態を想定して、そうならないために、或いは、なった時のために、キチンと対策を知っておくのも大切なことです。

明日身近な処から感染者が出ないとも限りません。隔離入院になれば、完治か死亡で帰ってくることになります。後悔する前に、大切な人と想いを話し合っておきましょう。

まずは、私たちにできることを粛々とやっていきましょう。

人生最終段階のQOL

志村けんさんがお亡くなりになりましたね。子どもの頃、8時だよ全員集合を楽しみに見ていた世代なので、ショックは大きいです。「70歳とご高齢で」とテレビで言われていて、「え、10歳しか違わない?」とまたショック。

2016年に肺炎の手術と今年1月胃のポリープの内視鏡での切除をされていたので、免疫が下がっていたのかも知れないと言われています。3月17日に倦怠感を感じて29日にお亡くなりになりました。12日で旅立ちとは、早すぎます。

本当に悲しすぎます。と同時に新型肺炎の怖さもひしひしと感じました。

命の幕切れがあまりにあっけないと感じたので、人生の最終段階のQOLのイメージをグラフにしてみました。

  • ①は、心身の状況が良くなくて、低空飛行を続けてその日を迎える。
  • ②は、何かの病気・不調と共存しながら、少しづつ弱ってということ。
  • ③は、結構、調子良く過ごして、短期の療養で旅立つ。志村さんの旅立ちがそうですね。
  • ④は、事故や心筋梗塞で突然にという、言うなれば即死に近い状態です。

みなさん「ずっと元気で、PPKが理想。」とおっしゃいますが、それは、③か④のパターンです。志村さんは③ですよね。70歳とまだお若いので、本人も無念でしょうし、周りはみんな、辛いですよね。

いずれ、みんなにゴールは訪れますが、今回の新型肺炎は、若くても重症化するリスクはあるということですよね。今私たちにできることとして、栄養・睡眠に気を付け、免疫力を上げ、うがい手洗い消毒、これらを励行して、この新型肺炎に打ち勝ちましょう。

命の話をしましょう!

みなさん、突然ですが、ご自分の人生のゴールについてお考えになったことがありますか?

「あら、そんな縁起でもない!」って声が聞こえます。では、あなたは、不老不死=永遠の命ですか?

そんなはずは無いですね。 この世に生まれてきた以上は、必ずその時を迎えますよね。 

ところで、今から70年前は人生50年と言われていました。実際、1947年男性の平均寿命が初めて50年を超えました。 今では、平均寿命が、男性81歳、女性87歳と、30年以上伸びていて、 今の高齢者も20年前より、10年若返っていると言われます。オギャーと生まれてきて、はえば立て、立てば歩めでどんどん大きくなって、立派な大人になります。でも、人間の体の機能としては20代位をピークに徐々にダウンしていきますね。 そのダウンのスピードが、ゆっくりになって長~くなっているのです。

以前、「人の命は地球より重い」 と言われました。 うんうんと分かる方は、同じ世代の方ですね。

命は、確かに大切です。では、命の何が大切なのでしょうか? 命の長さでしょうか?どんな形でも良いから、ただ生きていれば良いですか? それとも、命の質ですか? 多少短くなっても良いから、最後まで自分らしく、尊厳をもって暮らしたいですか? こう問いかけると、みなさん う~んと考えます。 中には、「両方!元気で長生き!」とおっしゃる方もいらっしゃいます。 それは、それが理想です。 

でも、なかなかそうばかりは行かないのが実情なんです。 「ご自身は長さと質 どちらを重視したいですか?」 こうお聞きすると「質」とたいていお答えです。 では、「愛するご家族はどうですか?」の問いには、「やはり、長く生きていてほしいです。」と。「では、ご自身が嫌なことを愛するご家族にさせるのですか?」 

「縁起でもない」と、そういう話題は避けていますが、その決断を迫られる時は、突然やって来るのです。 昨今は、100年に一度ということが、度々起こります。天災・人災・それから今は、目に見えないウィルスとも戦っています。

「命の話をしたことが無いから本人の気持ちが分からない。あの時、気持ちを聞いておけば良かった」と、後悔している方がたくさんいらっしゃいます。愛するご家族の闘病中も失った後も、『これで良かったのだろうか?もっと、違う選択があったのではないか? 』と、ずっと苦しんでいらっしゃいます。

「いざとなったら考える」では、遅いのです。今、お元気だからこそ、話し合えるのです。 まずは、ご自身のことを考え、その気持ちをご家族に話す。それから、ご親族や周りの方とも話して、想いを分かってもらいましょう。

今こそ、ユーモアを持ち、ポジティブに

コロナウィルスの影響で、あちこちに支障が出ている昨今で、みんなが我慢して息を潜めていますね。

そんな中、デイサービスでの利用者さまの会話が聞こえてきました。

「安倍首相は、小中高校生を休業にさせて、私たちは、普段どおりデイサービスに通わせてる。これからを担う子どもたちを守って、私たち年寄りは、どうなっても良いと思ってるのよ。」

「そうよ。そうよ。みんな、そう言ってるわ。」

いえいえ、コロナウィルスの流行を食い止めて、高齢者はもちろん、全国民を守るためですよ。子どもも楽しいことが中止になって、我慢しています。

以前、同じようなネガティブな話を聞いた気がします。

今では、幸期高齢者という字を当てる方もいらして、ポジティブ思考で人生を楽しんでいらっしゃる方が多いですが、2008年、75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度が始まりました。その頃の話です。

「後期高齢者だなんて、私たちはもう要らないということね?」など、とてもここには載せられないようなことを、皆さま、口々に不満気におっしゃっていました。

「そんなこと無いですよ~。」と返答するのも疲れはてた頃、すごく爽やかな方にお会いしました。

「75歳のお若い方が後期高齢者だなんて、私は、93歳だから、末期高齢者ね。オホホホ。」

と、おっしゃる声に思わず顔を上げました。そこには、キチンとお化粧をされて、御髪も美しくセットされ、背筋もシャンと伸びた女性がスッと立っていらっしゃいました。

12年前、93歳の方がおひとりでさっそうと自由に出歩くだけでもすごいのに、社会全体を見通して、ご自身の立ち位置を考える見識の高さ、心から尊敬します。本当に素晴らしい!

彼女が、今の不確かな情報に振り回されている状況をご覧になったら、どうおっしゃるでしょうか?コロナウィルスに感染しても、80%は無症状か軽傷と統計が発表されています。冷静な行動をしましょう。できるだけ外出を控えてと言われれば、後回しになっていた家の中でできることに取り組んでみてはいかがでしょうか。

私たちは、何かあるとすぐにくよくよして落ち込んだり、ネガティブな思考になって、誰かのせいにして責めたり、忙しさについ笑顔を忘れがちになったりします。

彼女とは、一期一会の出会いでしたが、そのポジティブさ、そしてユーモアのあるお上品さを今でも思い出し、そのたびに幸せな気持ちになります。ご自身がオホホホと笑顔でいるだけでなく、周りの人も10年以上幸せな笑顔にしてくれる彼女に感謝の気持ちでいっぱいです。こういう方ばかりだとこの国の幸福度も高くなっていくのではないでしょうか。私は、彼女の足元にも及びませんが、少しでも近づければと思っています。

ピンチをチャンスに! 彼女のようなユーモアとポジティブ思考で、日本を元気にしていきましょう。