延命治療とは3 経鼻チューブ栄養

私は、父の見送りから、命の尊厳を守るための意思表示をしましょうと呼び掛けています。

前回の話は、私が作成した「桜のようにいきたい」からで、ひいおばあちゃんが老衰で入院して抹消静脈栄養を施されて、おばあちゃんは、拝むように「自然のままにさせて」と頼みました。ご家族は生きて笑顔を見せてほしいと願っています。詳しくは、『延命治療とは 2』をご覧ください。

お医者さんからは、「今のままでは、栄養が足りないので、時間の問題です。」と言われ、充分な栄養が摂れる栄養補給について、3つの提案がありました。

1.経鼻チューブ栄養  2.中心静脈栄養  3.胃ろう  です。

今回は、1の経鼻チューブ栄養について説明します。

経鼻チューブ栄養は、病気や障害によって口からの食事が難しくなった方が、鼻から、胃或いは、小腸まで管を通してテープで固定し、栄養剤を注入する方法です。チューブを挿入するだけなので、特別な手術は必要ありませんが、チューブの 先端がきちんと目的の場所(胃や小腸)に 届いていることが重要です。もし万が一肺に入っていたら大変ですよね。

経鼻チューブ栄養補給は、胃腸を使うので、身体の自然な栄養摂取に近いため、栄養の吸収に関する体の負担も少なく、血糖値の変動なども起きにくく、腸の免疫も保たれます。

チューブは、低刺激性のテープで固定しますが、皮膚がかぶれることもありますよね。テープを交換するときは、皮膚を保護するため、同じ位置に貼 らないようにします。

そして、チューブが細く詰まりやすいことや、チューブが汚れるとその汚れが肺に入って肺炎や感染症を起こす原因になるため、だいたい1~2週間で交換する必要がありますが、患者さんには辛い作業です。

本人が、不快感からチューブを引き抜くことがあります。インフルエンザの検査で鼻に細い綿棒を突っ込まれるだけでも辛いのに、常に管が鼻から喉を通って、胃まで入っていると想像するといかがでしょうか。経鼻栄養補給をしている人が認知症の場合には、状況を理解できなくて、引き抜いてしまう確率は上がります。そして、チューブが抜けていることに気付かずに栄養剤を注入すると、重大な事故につながる恐れがあります。引き抜きでなくても、胃の働きなどにともなって移動している場合がありますから、特に注入前にチューブが抜けていないかを確認することが必要です。

また、注入が終わった後に30分から1時間ほど、上体を起こした姿勢のままでいてもらうことにより、逆流などによる誤嚥を防ぐことができます。

経管栄養で口をあまり使わない生活を続けると、口のお手入れが充分でなかったり、口の機能が低下しますので、毎日のお口のお手入れ、口腔ケア(歯・粘膜・舌の清掃や 頬のストレッチ、唾液腺マッサージなど )は重要となります。

体調が回復したら、咀嚼や嚥下のリハビリ をおこない、 再び口から食事を 摂ることも可能です。

とはいえ、ここを乗り越えれば元気になっていく人は、栄養補給は、必要でしょう。でも、おばあちゃんは老衰状態です。おばあちゃんは、どうなるでしょうか?

もし、あなただったらどうしたいですか?

次回に続く