未来の年表 未来の年表2 人口減少の実態

今回は、こちら。河合雅司(かわいまさし)氏著「未来の年表」「未来の年表2」です。

まずは、「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」です。

内容紹介は、(出版社より)一部抜粋

日本が人口減少社会にあることは「常識」。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか? 第1部では「人口減少カレンダー」とし、2017年から2065年頃まで、いったい何が起こるのかを、時系列に沿って、かつ体系的に示した。第2部では、第1部で取り上げた問題への対策を「10の処方箋」として、なるべく具体的に提示した。人口減少に関する日々の変化というのは、極めてわずか。ゆえに人々を無関心にする。だが、それこそがこの問題の真の危機、「静かなる有事」である。本書は、これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書となる。  とあります。

我が国の人口減少は、そんなに深刻なのでしょうか? 人口減少カレンダーのこれらの各項目について統計資料を見てみましょう。

まずは、こちらをご覧ください。人口減少の実態です。令和4年版高齢社会白書から高齢化の推移と将来推計です。この図からお分かりのとおり、我が国の人口は、08年の12,808万人をピークに一貫して減少していきます。

そしてこちらは、出生数及び死亡数の将来推計です。死亡数は、‘22年は1,568,961 人で、‘21年の 1,43 9,856 人より 129,105 人増加しています。

出生数は‘22年 770,747 人で、‘21年の 811,622 人より 40,875 人減少しています。これだけ見ると人口は‘22年に798,214人減少しています。この表の‘25年推計より、死者数は多く出生数は少なくなっていて、推計よりも人口減少の進み方が早いことが分かります。

次は、総務省統計局の人口推計から我が国の人口ピラミッドです。縦軸は年齢。下が0歳で上は100歳超です。横軸が人口です。生き物としては、下が多くて上に行くに連れてだんだん減少していくのが良いのでしょうが、若い人程人口が少ないのが実態です。70歳超の人口が多いところが団塊の世代、50歳辺りが団塊ジュニアです。2020年 女性の2人に1人が年齢50歳以上になっていることが分かります。出産できる年齢の女性が減少していくのですから、これから加速度的に人口減少するのは目に見えていますね。

次に、国土交通省の資料 家族類型別一般世帯数及び単独世帯割合の推移です。一番下のピンクの部分が、単独世帯で、年々増加し、‘20年が29.7%となっていて、まさに2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化しています。

次に、再度この資料ですが、高齢化率は、赤の折れ線です。総務省の発表によると現在29%となっていて、2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」になります。ついでに言うと、全人口の5.6人にひとりが75歳以上です。

次に、65歳以上の認知症患者の推定者と推定有病率です。65歳以上の5.4人にひとりがなると言われています。高齢所の増加と共に認知症患者数も増加し、2026年 認知症患者が700万人規模になりそうです。

この後もたくさんの項目がありますが、全て事実となっていくことでしょう。

「未来の年表2人口減少日本であなたに起きること」の内容は、

内容(「BOOK」データベースより)

少子高齢社会のリアルな脅威は、何気ない日常にこそ潜んでいます。10年後、20年後、あなたの身に迫る事態を一覧にしました。今からあなたにできる「メニュー」8つも提案。  とあり、より身近に起こることを分り易い例として挙げています。

一つだけ例を挙げてみます。未来の年表に、「2025年 ついに東京都も人口減少へ」とありました。今まで地方から人を集めてきた東京も‘25年をピークに人口減少に向かうと推計されています。

そして、未来の年表2に「高級タワマンが、『天空の老人ホーム』に変わる」があります。かつてのニュータウンがオールドタウンになっているとお聞きになっているでしょう。高級タワマンも今現役の方々が購入され、何十年か後には、入れ替わりはあるにしろ、住人も年を重ねます。建物自体も古くなります。空き部屋も増えていくでしょう。

話は変わりますが、先日長崎の崩れ行く軍艦島の映像をテレビで見ました。今どんどん建築中のタワマンを始め、日本中が人口減少によってこんなことにならなければ良いなあと感じました。

ここまで、いろんなデータを見てきました。平均寿命が延びて少子高齢化により、社会構造も変化してきました。定年年齢は55歳から60歳、そして、65歳までの雇用確保は義務になりましたが、加えて希望する従業員を可能な限り70歳までの就業機会の確保が努力義務になっています。

年金も寿命の延びから一人ひとりの受給期間がどんどん延びています。厚生年金受給開始年齢も移行期間を経て、男性s36,4,2生まれ・女性s41,4,2生まれ以降の方は、65歳支給開始になります。繰り下げ受給の年齢が75歳までになりました。年金も今後どうなるか見守る必要があります。

一番右の数字は、65歳以上の人を16~64歳の現役世代が何人で支えるかという数字です。昭和25年は12.1人でひとり(胴上げ状態)でしたが、騎馬戦状態を経て、令和7年では1.9人でひとり(肩車状態)になるとされていて、これからもっと厳しくなっていきます。65歳以上の方も支え手にならないと社会が回らないということですね。

以前、長崎五島列島を観光した時、「80代は現役世代」と、観光客をおもてなししてくれました。二十年後には、日本中がそうなるのでしょうか。

今は、一次産業や介護職など幅広い業種で人手不足となっていますが、物流も‘24年問題と言われています。実際、飲料の赤いトラック以外は、中高齢のドライバーが多く見えます。そして、そのうち一般会社員も。いずれは、役場・警察・消防・自衛隊なども人手不足に陥るのでしょうか。このまま少子化が推移すれば、「日本なくすにゃ刃物は要らぬ30年間待てば良い」ということになるのでしょうか。

それに対して、著者河合雅司氏の「10の処方箋」がある訳です。

政治家の方々は、こうなる未来を把握して、異次元の少子化対策をとがんばっているのでしょう。

著者河合雅司氏の様に具体策を持つ方々が、日本を引っ張って行ってくれると良いなあ。と思う今日この頃です。