年に不足はない

1.もう十分に年を取っていていつ死んでも不満はない。

2.年齢が若すぎるということはない。「結婚するにはー・い」            

(デジタル大辞泉〔小学館〕)              

「年には不足はない」少し前まで概ね80歳を過ぎた方のお葬式で聞かれた言葉です。しかし、最近では、全く聞かれなくなりました。人生100年時代になったので、それ未満なら不足があるのでしょうか。

あなたは、何歳までこの世で生きる予定ですか? 平均寿命までですか?健康寿命までですか?元気で毎日生き生きと活躍して生きられるなら、いつまででも生きたいですね。

でも、そうなんです。植物にも動物にも、もちろん人にも寿命があるのです。日本人の寿命は縄文時代、15歳ほどだったようです。長い間かけて少しずつ延びて昭和の終戦後初めて50歳を超えました。その頃『人生50年』と言われていました。そこからわずか70年で30歳も延びて、80歳超になりました。先日、『日本の75歳の気力体力は、20年前の65歳なみ。』と報道がありました。ご存じのとおり、栄養の改善、医療の進歩によるもので、素晴らしいです。

70代の方との話の中で、「昔の60歳ってすごくおばあさんに見えたよ。腰の曲がっている人もいたわ。それを今考えると骨粗しょう症だったのでしょう。でも、現在の60歳は、若々しいし、70歳過ぎてもこうして趣味に勤しむことができて幸せよ。」とおっしゃっていました。我々一般人も若返っていると実感しているということですね。

ところで、人の体の機能のピークは何歳でしょうか? 人生100年時代なので、半分の50歳でしょうか。では、スポーツ選手はいつ引退しますか?スポーツの種類にもよりますし、レジェンドと言われる方もいらっしゃいますが、平均を考えるなら、概ね30歳位ですよね。先の質問、人の体の機能のピークは、26歳です。26歳でピークを迎えたら、後はずっと下り坂。

下り坂が緩やかに、長ーくなっているのです。病気が出て治療し、完治します。若いうちは、それ以前と同じQOLを保つことができますが、年を重ねると入院ごとにQOLは下がります。QOL維持のために、栄養に気を配り、適度な運動し、頭を使うことで、歳に抗い、いつまでも健康でと頑張りますが、やはりこの世に生まれた以上、いづれはみんなに必ずゴールは訪れます。

「いつゴールがきても、後悔しない生き方を」とよく耳にします。また、「いつも新しいことに挑戦している人にとっては、いつゴールがきても、後悔する生き方になる。」という意見もあります。どういう生き方を選択するにせよ、高齢期に入ったら

『命には限りがある』ということをしっかり自覚して、自分のしたい夢を叶え、ご家族や周りの人に感謝の意を伝え、自分の生きてきた人生の引継ぎ方法も考え、一日一日を大切に生きていれば、自分の人生に満足でき、「年に不足がない」と言えるのではないのでしょうか。

縁とは~『マチネの終わりに』

出会いは、突然。そして必然。

出会うべくして出会った二人。感受性が同じで惹かれ合います。でも遠く離れているふたり。やっと進みだした二人の前に周りの妨害があってすれ違います。長く続く苦悩。妥協。それでも、縁があってまた人生が絡み合うことになります。

運命に翻弄される縁について深く考えながら帰宅してテレビをつけました。

『祝賀御列の儀』素敵な笑顔で優しく手を振る天皇皇后両陛下の映像が。

気ままに生きている一般人の私たちでも、楽しいことばかりではありません。辛いこと苦しいこと悲しいこと。ブルーになること数知れず。

国を背負う天皇陛下御一家の重圧は、計り知れない重さでしょう。「全力でお守りします。」そのお言葉どおり、お二人でそれを乗り越えてこられたのです。今日の雅子さまの晴れやかな笑顔と光る涙が、その喜びを表わされていたように思います。

そして、これからも前進していくためには、どんな決断行動が必要か、的確な判断をして、すばらしいご縁に繋いでいこうと思いを新たにした1日でした。

『縁』って本当に不思議。この広い世界の中で、同じ時に生きている70億人の中で、出会い、関わるのは、本当に奇跡。

私たちにも日々いろんな出会いがある。あの時、あの場所に行かなかったら、この方とお話していなかったら、あの時電話していなかったら、今の私たちはいない。子どもだって、孫だっていなかったかも知れません。本当に命って奇跡の連続だと痛感します。

日々の生活、仕事でもいろんな出会いがあります。そして、その時々、ひとつひとつの判断行動でどんどん結果が違ってきます。決定までには、自分自身の中でも葛藤があります。また、外からの妨害もあったり、今いる環境の中で障害があって、実行できないこともあります。今、こうして、自分がいられることに感謝しかありません。

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えている。」映画の中の台詞です。過去に起こった事実も、未来になって環境や見方が変わることによって、過去の事実への感じ方も変わるということだそうです。皇后陛下の涙が、このことを物語っているように感じました。

未来の自分が、「良い人生だった。」と満足できる活き方をするために、一日一日一瞬一瞬を大切に、すばらしいご縁を紡いで、自分にも人にも優しく、正直に生きようと、思いを新たにした1日でした。

映画「最高の人生の見つけ方」を見ました

トリプル介護をしている友人から「この映画良いよ~」と言われました。『どうかなあ』と思ったけど、熱心に勧められたので行かない訳にはいきません。吉永小百合ファンの母への孝行のつもりで一緒に行ってきました。

友人からあらすじを聞いていたし、NHKで吉永小百合さんの密着番組も見ていたので、完全にネタバレ状態でしたが、ストーリーに引き込まれて何度も涙が。 正に終活! 思いの外とっても良かったです。

二人は、人生のゴールが見えてきたことにより、やりたいことリストを実践していろんなことに挑戦しました。それを実行していくのが幸せに見えました。でも、人ができないいろんな経験をすれば幸せでしょうか?部下をいっぱい率いていれば幸せでしょうか?お金がたくさんあれば幸せでしょうか?

それまで、二人はそれぞれに抱えていた想いを隠して生きてきました。実社会においても誰でもそうです。みんないろんな思いを言えずに生きています。『言わなくても分かっているはず』と互いに気付かないふりをしている人が多いのですが、本当は言わないと伝わりません。家族でも友人でも。二人は、旅の途中で本音を言い合い、お互いのためを思って行動し、本当に大切なものに気づきました。

自分自身の人生に悔いを残さないように、今までのわだかまりを解消して遺される家族のこれからの幸せな生活の道筋をつけ、それから社会のためにと最高のゴールを切りました。最高の人生を見つけたのです。『こんなに何もかもうまくいくかな』と思うけど、人生のゴールの切り方を決めるのは自分自身です。

この映画を勧めてくれた友人は、毎日分刻みの生活でいつも忙しくしています。映画など見に行く時間などとても無いように見えます。でもそういう忙しい人こそが、家族で話し合い、協力し合い、時間を作って心を高めています。「ぼーっと生きてんじゃねえよ。」と言われそうです。

「あなたに会えて良かった。」「最高の人生だった。」私もこう言ってゴールできるように1日1日を慈しんで大切に生きたいと思いました。

是非、皆さまもご覧くださいませ。