それでも病院で死にますかーゴールの場所はどこが良い?

こんにちは さくら終活の大西です。

今回は、こちら。「それでも病院で死にますか」です。

2019年12月に発行された尾崎容子医師の著書  です。

尾崎容子(オザキヨウコ)さんは、京都市中京区のおかやま在宅クリニック院長で、訪問診療医。1971年、大阪府生まれです。

内容は、内容紹介(出版社より)からご紹介します。

人生の最期をどこで迎えたいか――。
内閣府の2017年の調査によれば、その場所を「自宅」と答えた方は50%を超えていました。
なのに今の日本では病院での死が73%。自宅での死は13,2%にすぎません。
希望と現実のギャップのいっぽうで、その最後の療養生活についても、
病院と家ではここまで真逆なものでした。

こんなに違う! 最後の療養生活。
たとえば、
・病院は病を治すための箱→在宅は生活を支えるためのもの。
・病院では絶食→在宅は一口でも食べられる。
・病院はベッドで寝ているのが基本→在宅ではできるだけ「立って立って」と促す。
・病院はペット制限あり→在宅は猫や犬と一緒も大丈夫。
・病院は無条件に禁酒禁煙→在宅は本人の希望最優先。
・病院は病院の事情で患者の行動をしばる→在宅は、その人の生きてきたクセのまま、困りごとを支援する。
・病院では機器に囲まれての無機質な死→在宅で最期は家族みんなで旅立ちを手づくりする。

 とあります。

こう見ると、在宅は良いことばかりに見えますね。 でも難しいんじゃないかしらという感じがしますよね。 ちょっとデータから考えてみましょう。

この本発行後の2020年11月に日本財団が、「人生の最期の迎え方に関する全国調査」をしています。こちらをご覧ください。

その結果によると

人生の最期を迎えたい場所は、左のグラフで「自宅」58,8%、「医療施設」33,9%、「介護施設」4,1% と半数以上が自宅を希望されています。

逆に、避けたい場所としては、右のグラフで「子の家」42,1%、「介護施設」34,4%となっています。

また、同じ調査で、人生の最期をどこで迎えたいかを考える際に重視することは、
親は「家族の負担にならないこと」95,1%
子は「家族等との十分な時間を過ごせること」85,7%となっています。

では、現実はどうでしょうか?

国土交通省の資料で、厚生労働省「人口動態統計」より作成した死因別統計データが分り易いのでご覧ください。この本より、データが新しく、

2019年、人生の最期を迎えた場所として、「病院」が、71,3%と少し減少しています。

「自宅」が、13,6%、「老人ホーム」8,6%、介護医療院・ 介護老人保健施設3,0%

左のグラフは、年間の死亡者数の推移及び将来推計で、死亡者数の増加が続き、2030年以降は年間150万人程度、2040年には168万人と見込まれています。増え続ける医療費を削減するため、病床数は、減少していますし、老衰で止めようのない体の弱りは病院では対応不可という時代がくるのかも知れません。 

右のグラフは、死亡した場所別の死亡者数の推移で、近年、病院での死亡割合が最高約80%から減少に転じ、自宅を含めた病院以外での死亡割合が増加傾向で、自宅での死亡者数は、2000年13,4万人から2019年18,8万人へと約5万人増加しています。

では、治る病気の時にも病院で治療してもらえないかというとそうではありません。病院は、病気を治すところです。

あまり言うとこの本のネタバレになりますが、延命治療の代表のように言われる胃ろうには、良い胃ろうと悪い胃ろうがあるそうです。治療にはタイミングがあります。治すための治療はいつまでするのか?治療を続けることで、かえって苦しんだり、命を縮めたりしていないか?など、しっかりと考える必要がありますね。

ご自宅でゴールを迎えるためには、前もってそのための知識も必要です。専門家にも相談しましょう。そして、お金はかかりますが、医療・介護サービスを利用するのはもちろん、ご家族の協力は不可欠です。元気なうちから、愛情に満ちた良い関係を保ちたいですね。このように知識・お金・愛情と準備が必要です。

この世に生まれてきた以上、死亡率は100%です。愛するご家族を見送った後、「人生のゴールの仕方について思いを聞いていなかったので、あの送り方で良かったのか?かえって、苦しめたのではないか?」とずっと後悔している方がたくさんいらっしゃいます。

死について話すのは不謹慎だとか、縁起でもないと言わず、命の話し合いが必要です。

ご家族のみならず、(看護・介護に関わらない)遠くの身内やご本人の兄弟(子ども世代からいうとおじおば)にも、自分の命の話をしましょう。現状・病状・思いを知らずに強力に口出しされ、辛い思いをする場合も多いのです。

命の話合いをして、ご自身もご家族も希望のゴールを迎えましょう。

まずは、この「それでも病院で死にますか」を読んで知識を身につけてくださいね。いろんな方の実例もあり、勉強になりますよ。

次回も終活や生活について発信しますので、是非ご覧ください。

死ねない老人 & 87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし

今回はこちら。「死ねない老人」「続・死ねない老人」と「87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし」です。

「死ねない老人」は、医療法人社団 杉浦医院の理事長 杉浦敏之氏著です。

「死ねない老人」の内容は、(「BOOK」データベースより)

「はやく死にたいよ」忍び寄る“老後悲劇”の足跡―他人事では済まされない! 高齢者医療に25年間携わってきた医師が明かす「死にたくても死ねない高齢者」の悲惨な実態。  とあります。

それによると、死ねない老人には2パターンあるそうです。

1つ目は、生きがいもなく、「死にたい」が口癖の高齢者  そして、

2つ目は、治る見込みもないのに延命治療を施された高齢者

では、どう生きると良いのでしょうか?1つ目の人の解決策として参考になるかが、多良美智子さん著の「87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし」です。

内容紹介(出版社より)

87歳の今も、50年以上住む古い団地で、ひとり暮らしを続ける美智子さん。長年かけて、居心地良く整えてきた部屋で、「最期まで過ごしたい」。そのために、健康には気を遣い、毎朝6時からラジオ体操。朝食はプロテインやおから、アマニ油などが入った栄養満点スムージー。料理は簡単でも、お気に入りの器に盛って楽しむ。ウォーキングで摘んだ草花を窓辺に飾って。読書や裁縫、映画鑑賞…ひとりでできる趣味がたくさん。年をとり、できないことが増えるのは仕方ない。できることを大いに頑張り、楽しもう─。そんな前向きな姿勢が、孫の撮るYouTube「Earthおばあちゃんねる」で大反響。あっという間に登録者数6万人に。
「今が一番幸せです」と言いきる美智子さんの、生き方の秘訣を大公開。希望に満ちた「ひとり老後」指南。

とあります。

美智子さんは本当に多趣味ですね。あと、ボランティアとかで人の役に立つことをするのも良いですね。

年を重ねると、「きょうよう(今日用)・きょういく(今日行く)」が大切と言われます。美智子さんほどたくさんの趣味をもつことは難しいにしても、趣味や運動は大切ですね。

では、2つ目の人はどうしたら良いでしょうか? いや、もう治る見込みもないのに、苦しい時間を引き延ばすだけの延命治療を施されてしまったら、家族が「外して」と言っても、医師は他の親族から訴えられることを危惧するので、もうどうしようもないのです。

これは、厚生労働省の令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況の一部抜粋です。

日本人の死因を円グラフで表しています。 以前は、3大疾病としてがん・心疾患・脳血管疾患となっていましたが、令和3年の死亡数を死因順位別にみると、第1位は悪性新生物(がん)、第2位は心疾患、第3位は老衰、第4位は脳血管疾患となり、老衰が増加しています。コロナ禍で少し鈍っているとは言え、少しずつ平均寿命は延びています。健康寿命との差は、男性 約9年、女性約12年。ppk(ピンピンころり)が理想と言われますが、健康上の問題で日常生活に制限がある時期が平均でこれだけあるということです。そしていずれ命のゴールを迎えます。 患者の死は医師の敗北という言葉があります。でもこれは老衰には当てはまらないと思います。いずれみんなに訪れるのですから。

こちらは、平成30年3月の人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書の一部抜粋です。 

口から十分な栄養をとれなくなった場合のいろんな治療についての問いがあります。ここに載せたのは、胃ろうについての問いです。手術で胃に穴を開けて直接管を取り付け、流動食を入れる胃ろうによる医療は「望まない」との回答が最も多く、一般国民 71.2%、医師 85.1%、看護師 86.7%、介護職員 89.8%と大多数の方が望まないとしています。より現状をご存じの看護・介護に関わっている専門家の方が望まない%が高くなっています。

同じ意識調査の中で、大切な人の死に対する心残りが「ある」と回答した方を対象に、どうしていたら心残りがなかったかを尋ねたものです。「あらかじめ身近で大切な人と人生の最終段階について話し合えていたら」良かったとする人が一番多いのです。

「続・死ねない老人」の帯には、新型コロナで「死」の意識は変わった!希望の最期を叶えるために家族が考えるべきこととはー  とあります。 もう皆さんお分かりですね。

まずは、人工呼吸器・心臓マッサージ・胃ろう・経鼻栄養・中心静脈栄養などの治療はどんな治療なのかを知りましょう。治る人にとっては普通の治療ですが、もう治らない人にとっては延命治療となります。

そして、①いずれくるその時にご自分はどうしたいかを考えましょう。②それからご家族とも命の話をしましょう。③その後遠くの親戚にもお話しましょう。近くで見ている家族は本人の希望どおりにと思うけれど、普段何もしない遠くに居る親族がしゃしゃり出て「できる限り生きてほしい。」等と方針をひっくり返して後悔する結果になることも多いのです。命の話合いをすることは、本人の希望する旅立ちに繋がるし、ご家族に後悔を残さない満足の見送りになるのです。

さくら終活では、延命治療意思表示カード等を作成し、YouTube で「延命治療とは」シリーズもUPしています。ご参考になれば幸いです。