急な入院への備え 1

新型肺炎による緊急事態宣言が、全国に拡大されました。

今回の新型肺炎は、無症状、軽症の方も80%と言われていますが、軽症でも、高熱が何日も続いて本当に苦しい日々だそうです。残り20%は酸素吸入が必要なほど重症化し、急激に悪化して助からない方もあります。 

ところで、あなたは、終活や防災のための準備をされていらっしゃると思いますが、今回のような病気や入院に対する備えは、充分でしょうか?

先日、100日後に死ぬワニ というインスタが話題になりましたね。100日と分かっていても、ドキドキはらはらしながら読みました。今回の肺炎は、症状が出て、たったの1~2週間で、旅立つ方もあります。

もし急に入院・悪化・最悪死亡となったらどうなるでしょうか。周りの方の困惑は相当なものがあると思います。

そこで、今、何をするべきかを考えてみましょう。

ご自身と愛するご家族の負担を減らすためには3つの備えがあります。

  • 入院セットを作る。 
  • エンディングノートを書く。
  • 遺言書を作成する。  

今回は、入院セットを作るについて、お話します。

入院セットで思い出すのは、私の母です。父の晩年、いつ入院になるか分からないからと、常時、セットを作っていて、季節ごとに入れ替えもしていました。私はといえば、数十年前、お産の時に作りました。それっきりです。 

以前、ちょっと先輩の女性が足首をけがして受診すると,骨折していて即入院となりました。でも、「家族が物の位置も分からず、誰も準備してくれないので、一旦帰って準備します。」と痛い足で帰宅して準備したと聞いたことがありました。その時は他人事として聞き、「大変だったね」で終わっていましたが、やはりこの年になると、いや若くてもいつ何があるか分かりません。ちゃんと、恥ずかしくない備えが必要だと思います。

用意するものは、パジャマや着替え、湯吞ティッシュ、タオル、歯ブラシスリッパ等です。常時入れておく訳にはいきませんが、健康保険証、お薬手帳などは必需品ですね。

急激に症状が悪化した場合、準備などできませんから、ここにまとめて置いてあるということを、家族や世話をしてくれる人に話しておくと良いですね

天災・人災・目に見えないウィルスと、自分の身にいつ何が起こるか分かりません。「手洗いうがい消毒を徹底していたのに、まさか、自分が!」と、テレビでおっしゃっている方もありました。

何かが起こりかけてあわてないように、外出自粛の今、前もってできることをしておきましょう。

呼吸不全の治療

悲しいことに、新型肺炎の患者さんがどんどん増えていますね。テレビをつければ、ずっとその話題です。

今回の新型肺炎は、いろんな薬も投与されていますが、呼吸不全の治療も重要です。

どんな治療があるのでしょうか。その治療のイメージをご覧ください。

  • まずは、鼻カニューレ、この管で毎分5Lまでを目安として酸素吸入をします。呼吸困難の緩和、身体各器官の機能の酸素供給を正常に保つことを目的としています。 1cmほどを鼻腔に挿入して、チューブを耳にかけて固定して、酸素を投与します。チューブの装着は鼻腔のみなので、患者さんへの負担が少なく、装着したままでも、会話や食事が可能です。
  • 症状が進み、毎分6Lを超える酸素が必要になると、酸素マスクで鼻と口から酸素吸入します。ポリープなどで、完全に鼻腔が閉塞している患者さんには酸素投与の効果があります。
  • 肺炎が重症化して、自力で肺に酸素を取り入れられなくなると、人工呼吸器を用いて機械の力で肺に酸素を送ります。人工呼吸の目的は、酸素付加と二酸化炭素排泄を補助することと呼吸仕事量の軽減です。
  • それでも症状が改善しないときには、ECMO(エクモ)(人工心肺装置)を使って血液を体外に循環させて酸素を直接注入して体内に戻します。ただし、ウイルス感染の影響で全身状態の悪化が止まらないと、ECMOを使っても助かる見込みは低くなります。

ここまで、呼吸不全の治療イメージでした。こうしている間も医療現場では懸命の治療をしてくださっていて、感謝ですね。

起こってほしくないことには、「縁起でもない」と、蓋をしがちですが、起こりうる最悪の事態を想定して、そうならないために、或いは、なった時のために、キチンと対策を知っておくのも大切なことです。

明日身近な処から感染者が出ないとも限りません。隔離入院になれば、完治か死亡で帰ってくることになります。後悔する前に、大切な人と想いを話し合っておきましょう。

まずは、私たちにできることを粛々とやっていきましょう。

人生最終段階のQOL

志村けんさんがお亡くなりになりましたね。子どもの頃、8時だよ全員集合を楽しみに見ていた世代なので、ショックは大きいです。「70歳とご高齢で」とテレビで言われていて、「え、10歳しか違わない?」とまたショック。

2016年に肺炎の手術と今年1月胃のポリープの内視鏡での切除をされていたので、免疫が下がっていたのかも知れないと言われています。3月17日に倦怠感を感じて29日にお亡くなりになりました。12日で旅立ちとは、早すぎます。

本当に悲しすぎます。と同時に新型肺炎の怖さもひしひしと感じました。

命の幕切れがあまりにあっけないと感じたので、人生の最終段階のQOLのイメージをグラフにしてみました。

  • ①は、心身の状況が良くなくて、低空飛行を続けてその日を迎える。
  • ②は、何かの病気・不調と共存しながら、少しづつ弱ってということ。
  • ③は、結構、調子良く過ごして、短期の療養で旅立つ。志村さんの旅立ちがそうですね。
  • ④は、事故や心筋梗塞で突然にという、言うなれば即死に近い状態です。

みなさん「ずっと元気で、PPKが理想。」とおっしゃいますが、それは、③か④のパターンです。志村さんは③ですよね。70歳とまだお若いので、本人も無念でしょうし、周りはみんな、辛いですよね。

いずれ、みんなにゴールは訪れますが、今回の新型肺炎は、若くても重症化するリスクはあるということですよね。今私たちにできることとして、栄養・睡眠に気を付け、免疫力を上げ、うがい手洗い消毒、これらを励行して、この新型肺炎に打ち勝ちましょう。

命の話をしましょう!

みなさん、突然ですが、ご自分の人生のゴールについてお考えになったことがありますか?

「あら、そんな縁起でもない!」って声が聞こえます。では、あなたは、不老不死=永遠の命ですか?

そんなはずは無いですね。 この世に生まれてきた以上は、必ずその時を迎えますよね。 

ところで、今から70年前は人生50年と言われていました。実際、1947年男性の平均寿命が初めて50年を超えました。 今では、平均寿命が、男性81歳、女性87歳と、30年以上伸びていて、 今の高齢者も20年前より、10年若返っていると言われます。オギャーと生まれてきて、はえば立て、立てば歩めでどんどん大きくなって、立派な大人になります。でも、人間の体の機能としては20代位をピークに徐々にダウンしていきますね。 そのダウンのスピードが、ゆっくりになって長~くなっているのです。

以前、「人の命は地球より重い」 と言われました。 うんうんと分かる方は、同じ世代の方ですね。

命は、確かに大切です。では、命の何が大切なのでしょうか? 命の長さでしょうか?どんな形でも良いから、ただ生きていれば良いですか? それとも、命の質ですか? 多少短くなっても良いから、最後まで自分らしく、尊厳をもって暮らしたいですか? こう問いかけると、みなさん う~んと考えます。 中には、「両方!元気で長生き!」とおっしゃる方もいらっしゃいます。 それは、それが理想です。 

でも、なかなかそうばかりは行かないのが実情なんです。 「ご自身は長さと質 どちらを重視したいですか?」 こうお聞きすると「質」とたいていお答えです。 では、「愛するご家族はどうですか?」の問いには、「やはり、長く生きていてほしいです。」と。「では、ご自身が嫌なことを愛するご家族にさせるのですか?」 

「縁起でもない」と、そういう話題は避けていますが、その決断を迫られる時は、突然やって来るのです。 昨今は、100年に一度ということが、度々起こります。天災・人災・それから今は、目に見えないウィルスとも戦っています。

「命の話をしたことが無いから本人の気持ちが分からない。あの時、気持ちを聞いておけば良かった」と、後悔している方がたくさんいらっしゃいます。愛するご家族の闘病中も失った後も、『これで良かったのだろうか?もっと、違う選択があったのではないか? 』と、ずっと苦しんでいらっしゃいます。

「いざとなったら考える」では、遅いのです。今、お元気だからこそ、話し合えるのです。 まずは、ご自身のことを考え、その気持ちをご家族に話す。それから、ご親族や周りの方とも話して、想いを分かってもらいましょう。