それでも病院で死にますかーゴールの場所はどこが良い?

こんにちは さくら終活の大西です。

今回は、こちら。「それでも病院で死にますか」です。

2019年12月に発行された尾崎容子医師の著書  です。

尾崎容子(オザキヨウコ)さんは、京都市中京区のおかやま在宅クリニック院長で、訪問診療医。1971年、大阪府生まれです。

内容は、内容紹介(出版社より)からご紹介します。

人生の最期をどこで迎えたいか――。
内閣府の2017年の調査によれば、その場所を「自宅」と答えた方は50%を超えていました。
なのに今の日本では病院での死が73%。自宅での死は13,2%にすぎません。
希望と現実のギャップのいっぽうで、その最後の療養生活についても、
病院と家ではここまで真逆なものでした。

こんなに違う! 最後の療養生活。
たとえば、
・病院は病を治すための箱→在宅は生活を支えるためのもの。
・病院では絶食→在宅は一口でも食べられる。
・病院はベッドで寝ているのが基本→在宅ではできるだけ「立って立って」と促す。
・病院はペット制限あり→在宅は猫や犬と一緒も大丈夫。
・病院は無条件に禁酒禁煙→在宅は本人の希望最優先。
・病院は病院の事情で患者の行動をしばる→在宅は、その人の生きてきたクセのまま、困りごとを支援する。
・病院では機器に囲まれての無機質な死→在宅で最期は家族みんなで旅立ちを手づくりする。

 とあります。

こう見ると、在宅は良いことばかりに見えますね。 でも難しいんじゃないかしらという感じがしますよね。 ちょっとデータから考えてみましょう。

この本発行後の2020年11月に日本財団が、「人生の最期の迎え方に関する全国調査」をしています。こちらをご覧ください。

その結果によると

人生の最期を迎えたい場所は、左のグラフで「自宅」58,8%、「医療施設」33,9%、「介護施設」4,1% と半数以上が自宅を希望されています。

逆に、避けたい場所としては、右のグラフで「子の家」42,1%、「介護施設」34,4%となっています。

また、同じ調査で、人生の最期をどこで迎えたいかを考える際に重視することは、
親は「家族の負担にならないこと」95,1%
子は「家族等との十分な時間を過ごせること」85,7%となっています。

では、現実はどうでしょうか?

国土交通省の資料で、厚生労働省「人口動態統計」より作成した死因別統計データが分り易いのでご覧ください。この本より、データが新しく、

2019年、人生の最期を迎えた場所として、「病院」が、71,3%と少し減少しています。

「自宅」が、13,6%、「老人ホーム」8,6%、介護医療院・ 介護老人保健施設3,0%

左のグラフは、年間の死亡者数の推移及び将来推計で、死亡者数の増加が続き、2030年以降は年間150万人程度、2040年には168万人と見込まれています。増え続ける医療費を削減するため、病床数は、減少していますし、老衰で止めようのない体の弱りは病院では対応不可という時代がくるのかも知れません。 

右のグラフは、死亡した場所別の死亡者数の推移で、近年、病院での死亡割合が最高約80%から減少に転じ、自宅を含めた病院以外での死亡割合が増加傾向で、自宅での死亡者数は、2000年13,4万人から2019年18,8万人へと約5万人増加しています。

では、治る病気の時にも病院で治療してもらえないかというとそうではありません。病院は、病気を治すところです。

あまり言うとこの本のネタバレになりますが、延命治療の代表のように言われる胃ろうには、良い胃ろうと悪い胃ろうがあるそうです。治療にはタイミングがあります。治すための治療はいつまでするのか?治療を続けることで、かえって苦しんだり、命を縮めたりしていないか?など、しっかりと考える必要がありますね。

ご自宅でゴールを迎えるためには、前もってそのための知識も必要です。専門家にも相談しましょう。そして、お金はかかりますが、医療・介護サービスを利用するのはもちろん、ご家族の協力は不可欠です。元気なうちから、愛情に満ちた良い関係を保ちたいですね。このように知識・お金・愛情と準備が必要です。

この世に生まれてきた以上、死亡率は100%です。愛するご家族を見送った後、「人生のゴールの仕方について思いを聞いていなかったので、あの送り方で良かったのか?かえって、苦しめたのではないか?」とずっと後悔している方がたくさんいらっしゃいます。

死について話すのは不謹慎だとか、縁起でもないと言わず、命の話し合いが必要です。

ご家族のみならず、(看護・介護に関わらない)遠くの身内やご本人の兄弟(子ども世代からいうとおじおば)にも、自分の命の話をしましょう。現状・病状・思いを知らずに強力に口出しされ、辛い思いをする場合も多いのです。

命の話合いをして、ご自身もご家族も希望のゴールを迎えましょう。

まずは、この「それでも病院で死にますか」を読んで知識を身につけてくださいね。いろんな方の実例もあり、勉強になりますよ。

次回も終活や生活について発信しますので、是非ご覧ください。

死ねない老人 & 87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし

今回はこちら。「死ねない老人」「続・死ねない老人」と「87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし」です。

「死ねない老人」は、医療法人社団 杉浦医院の理事長 杉浦敏之氏著です。

「死ねない老人」の内容は、(「BOOK」データベースより)

「はやく死にたいよ」忍び寄る“老後悲劇”の足跡―他人事では済まされない! 高齢者医療に25年間携わってきた医師が明かす「死にたくても死ねない高齢者」の悲惨な実態。  とあります。

それによると、死ねない老人には2パターンあるそうです。

1つ目は、生きがいもなく、「死にたい」が口癖の高齢者  そして、

2つ目は、治る見込みもないのに延命治療を施された高齢者

では、どう生きると良いのでしょうか?1つ目の人の解決策として参考になるかが、多良美智子さん著の「87歳、古い団地で愉しむひとりの暮らし」です。

内容紹介(出版社より)

87歳の今も、50年以上住む古い団地で、ひとり暮らしを続ける美智子さん。長年かけて、居心地良く整えてきた部屋で、「最期まで過ごしたい」。そのために、健康には気を遣い、毎朝6時からラジオ体操。朝食はプロテインやおから、アマニ油などが入った栄養満点スムージー。料理は簡単でも、お気に入りの器に盛って楽しむ。ウォーキングで摘んだ草花を窓辺に飾って。読書や裁縫、映画鑑賞…ひとりでできる趣味がたくさん。年をとり、できないことが増えるのは仕方ない。できることを大いに頑張り、楽しもう─。そんな前向きな姿勢が、孫の撮るYouTube「Earthおばあちゃんねる」で大反響。あっという間に登録者数6万人に。
「今が一番幸せです」と言いきる美智子さんの、生き方の秘訣を大公開。希望に満ちた「ひとり老後」指南。

とあります。

美智子さんは本当に多趣味ですね。あと、ボランティアとかで人の役に立つことをするのも良いですね。

年を重ねると、「きょうよう(今日用)・きょういく(今日行く)」が大切と言われます。美智子さんほどたくさんの趣味をもつことは難しいにしても、趣味や運動は大切ですね。

では、2つ目の人はどうしたら良いでしょうか? いや、もう治る見込みもないのに、苦しい時間を引き延ばすだけの延命治療を施されてしまったら、家族が「外して」と言っても、医師は他の親族から訴えられることを危惧するので、もうどうしようもないのです。

これは、厚生労働省の令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況の一部抜粋です。

日本人の死因を円グラフで表しています。 以前は、3大疾病としてがん・心疾患・脳血管疾患となっていましたが、令和3年の死亡数を死因順位別にみると、第1位は悪性新生物(がん)、第2位は心疾患、第3位は老衰、第4位は脳血管疾患となり、老衰が増加しています。コロナ禍で少し鈍っているとは言え、少しずつ平均寿命は延びています。健康寿命との差は、男性 約9年、女性約12年。ppk(ピンピンころり)が理想と言われますが、健康上の問題で日常生活に制限がある時期が平均でこれだけあるということです。そしていずれ命のゴールを迎えます。 患者の死は医師の敗北という言葉があります。でもこれは老衰には当てはまらないと思います。いずれみんなに訪れるのですから。

こちらは、平成30年3月の人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書の一部抜粋です。 

口から十分な栄養をとれなくなった場合のいろんな治療についての問いがあります。ここに載せたのは、胃ろうについての問いです。手術で胃に穴を開けて直接管を取り付け、流動食を入れる胃ろうによる医療は「望まない」との回答が最も多く、一般国民 71.2%、医師 85.1%、看護師 86.7%、介護職員 89.8%と大多数の方が望まないとしています。より現状をご存じの看護・介護に関わっている専門家の方が望まない%が高くなっています。

同じ意識調査の中で、大切な人の死に対する心残りが「ある」と回答した方を対象に、どうしていたら心残りがなかったかを尋ねたものです。「あらかじめ身近で大切な人と人生の最終段階について話し合えていたら」良かったとする人が一番多いのです。

「続・死ねない老人」の帯には、新型コロナで「死」の意識は変わった!希望の最期を叶えるために家族が考えるべきこととはー  とあります。 もう皆さんお分かりですね。

まずは、人工呼吸器・心臓マッサージ・胃ろう・経鼻栄養・中心静脈栄養などの治療はどんな治療なのかを知りましょう。治る人にとっては普通の治療ですが、もう治らない人にとっては延命治療となります。

そして、①いずれくるその時にご自分はどうしたいかを考えましょう。②それからご家族とも命の話をしましょう。③その後遠くの親戚にもお話しましょう。近くで見ている家族は本人の希望どおりにと思うけれど、普段何もしない遠くに居る親族がしゃしゃり出て「できる限り生きてほしい。」等と方針をひっくり返して後悔する結果になることも多いのです。命の話合いをすることは、本人の希望する旅立ちに繋がるし、ご家族に後悔を残さない満足の見送りになるのです。

さくら終活では、延命治療意思表示カード等を作成し、YouTube で「延命治療とは」シリーズもUPしています。ご参考になれば幸いです。

あなたのぜい肉、落とします~心のゼイ肉と子どもの貧困

こんにちは さくら終活の大西です。

この頃、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そんなこと言われるよね。」と共感しきりなんですが、今回は、永遠のテーマ ダイエットについてで、『あなたのゼイ肉、落とします』です。

内容は、ブックデータベースよりご紹介します。

ダイエットは運動と食事制限だけではない。大庭小萬里はマスコミには一切登場しない謎の女性だが、彼女の個別指導を受ければ、誰もが痩せられるという。どうやら、身体だけでなく「心のゼイ肉」を落とすことも大事なようだ…。ベストセラー『あなたの人生、片づけます』の主人公・大庭十萬里の妹である大庭小萬里の指導が冴える、読んで痩せるダイエット小説。 とあります。

読んで痩せられるとは、どういうことでしょうか?

まずは、肥満者の現状から、こちらをご覧ください。

厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査報告結果の概要です。これによると、肥満者の割合は、男性33,0%。女性22,3%です。 ほとんどの人が、「ダイエットダイエット」と言っている様に感じますが、実際は、肥満の人はそう多くないですね。

美味しいものを美味しく食べられるのは幸せなことですが、ついつい食べ過ぎてしまう。

この原因を、『心のゼイ肉』と著者は表しています。心に澱が溜ってストレスから逃れるために食べ過ぎてしまいます。この心の問題を解決しない限り、いくら運動と食事制限をして瘦せても、またリバウンドを繰り返してしまいます。

心の澱も人それぞれです。自分に自信をなくしている人・本当に自分のしたいことを否定されている人・モラハラによる心の支配に苦しむ人。 その澱から逃れるためについ食べてしまうのですね。どれも一朝一夕に解決できる簡単な問題ではなく、辛い思いは堂々巡りします。

そして、今社会問題となっている子どもの貧困問題。親が忙しく働いて時間がなく、子どもはカップ麺とお菓子ばかり食べているという家庭もあります。味は濃く、カロリーは高いけれど、栄養不足なので空腹感を感じます。そのため、また食べるという繰り返しになって太ってしまいます。

こちらは、厚生労働省の平成29年版厚生労働白書世帯構造別 相対的貧困率の推移です。中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合「子どもの貧困率」は、2015年時点で13.9%でした。

世帯類型別では、母子家庭など大人1人親世帯の子どもの貧困率は50.8%に上り、生活が苦しい実態が浮かびます。本当に難しい問題です。でもただ手をこまねいていたのでは、解決できません。

片づけもダイエットも、あ、片づけに関しては、前回の『あなたの人生、片づけます』(URL ‹ さくら終活 — WordPress (sakurasyukatsu.moo.jp)) でお話していますのでご覧ください。 片づけもダイエットも表面に現れた状態は同じでも、原因はいろいろで根深い問題があるのですね。本人のみならず、家族近隣を巻き込み、心のゼイ肉を落として問題解決していく大庭姉妹 こういう人がたくさん居れば、世はとっても暮らしやすくなります。

心の解決ができて、心底から納得できたら、やはり、運動と食事制限。聞き飽きたことではありますが、

ただ、太って見えなければそれで良いかというとそうでもありませんよね。筋肉量が少なければ、将来、運動機能が低下し、立ったり、歩いたりといった移動機能が低下しますので、適度な運動をして、筋肉をつける必要があります。そして、消費カロリーより摂取カロリーが多ければ、当然太っていきますので、自分に合う食事制限も必要ですね。頭では分っていますが、なかなか難しいんですけどね。

さて、この小説の主人公大庭小萬里はどんな解決をして依頼者を救ったでしょうか? 皆さんも是非読んでみてくださいね。あなたも読んだら痩せられるかも?

次回も終活や生活について発信しますので、是非ご覧ください。

あなたの人生、片づけます・姑の遺品整理は迷惑です ~心の片づけ

こんにちは さくら終活の大西です。

この頃、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そんなこと言われるよね。」と共感しきりなんですが、今回は、永遠のテーマお片づけについて。 『あなたの人生、片づけます』について、『姑の遺品整理は迷惑です』も絡めてお話いたします。

まず、『あなたの人生、片づけます』です。

内容は、ブックデータベースよりご紹介します。

社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、一部屋だけ片づいた部屋がある主婦…。『部屋を片づけられない人間は、心に問題がある』と考えている片づけ屋・大庭十萬里は、原因を探りながら汚部屋を綺麗な部屋に甦らせる。この本を読んだら、きっとあなたも断捨離したくなる!

とあります。

ここ数年、足の踏み場のないほど汚い部屋を汚部屋と言ったり、ゴミを出さずに溜め込んだ家をゴミ屋敷と呼ぶようになりました。

そこまでひどくなくても、使わない物がたくさんあるお宅も多いのではないでしょうか?

「何かの時に使うかも」「高価だったのでもったいない」「思い出がある」「分別の仕方が分からない」など捨てられない理由はさまざまですが、重症の人には深~い心の澱(オリ)があります。

ゴミ屋敷と呼ばれるようになる人は、うつ病や認知症、セルフネグレクトといった精神疾患が影響しているともいわれます。

この小説では、そこまで重症ではありませんが、現実を受け入れられなくて辛い思いを抱えていたり、自立できなかったり、世の変化を受け入れられず、古い価値観そのままだったりと複雑な問題があります。それらの心の問題を解決して、本人が心から納得できなければ、ただ単に片づけてもすぐにリバウンドしてしまいます。心の問題をどう解決するかを考えて調整し解決してくれるのが、主人公の大庭十萬里です。

次に『姑の遺品整理は、迷惑です』です。

こちらも、ブックデータベースより紹介します。

姑が亡くなり、住んでいたマンションを処分することになった。業者に頼むと高くつくからと、嫁である望登子はなんとか自分で遺品整理をしようとするが、あまりの物の多さに立ちすくむばかり。
「安物買いの銭失い」だった姑を恨めしく思いながら、仕方なく片づけを始める。夫も手伝うようになったが、さすが親子、彼も捨てられないタイプで、望登子の負担は増えるばかりである。誰もが経験するであろう、遺品整理をユーモアーとペーソス溢れる筆致で描く長編小説。 とあります。

姑さんとの思い出を楽しみながらゆっくり片づけられれば良いですが、望登子の家も狭くて、一軒分を受け入れる余裕もありません。姑さんの賃貸マンションを返却するためには一刻も早く、ほとんど全てを分別して処分する必要があるけれど、遺品整理業社に依頼する金銭的余裕はありません。

大量のもう絶対使わない物が押し入れや天袋に所せましと仕舞い込まれていたので、引っ張り出し分別し、ゴミ収集の日時に合わせて、5階から重いゴミ出しに何往復もする。50代の望登子 体力的にも大変です。

この小説よりもっとひどくなり、床に物が溢れていると、つまずいたりしてケガの元になります。また、物を探す時間を取られ、有意義に過ごす時間も削られます。安心安全という意味でも片づけは必要なんです。

この小説では、70代の姑さんが突然死したのですが、誰しも人生はいつゴールが訪れるか分りません。ミニマリストとまではいかなくても、体力気力が有る時に、大切な物はまとめ、不要な物は片づけて、本当に必要なお気に入りの物に囲まれて生きていたいですね。そのためには、実際の片づけに入る前に心の片づけが必要なんですね。

表面に現れた状態は同じでも、この小説の様に、原因はいろいろで根深い心の問題があるのですね。心の片づけなくして家の片づけはできないようです。

自分のみならず、家族近隣を巻き込み、それぞれの問題を解決してくれる大庭十萬里。こういう人がたくさん居れば、世はとっても暮らしやすくなります。 

さて、このふたつの小説では本当に片付いたのでしょうか? 皆さんもぜひ読んでみてくださいね。

次回も垣谷美雨さんの著書について発信しますので、是非ご覧ください。

後悔病棟 希望病棟 ー自分の人生は自分のもの

さくら終活の大西です。

このところ、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そういうことあるよね。」と共感しきりですが、今回の小説では、あり得ない現象が起こって、一気に読んでしまいました。コミュニケーション能力と生き方が大きな二つのテーマだと感じます。

今回は、『後悔病棟』『希望病棟』について、こちらの『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』を少し交えてお話いたします。

2冊の内容は(「BOOK」データベースより)一部抜粋してご紹介します。

後悔病棟』については、

神田川病院に勤務する医師の早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、患者の気持ちがわからないのが悩みの種。ある日、ルミ子は病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の“心の声”が聞こえてくるのだ。-母に反対されて夢を諦めた小都子が目を閉じて願うと、“もうひとつの人生”へ通じる扉が現れる。聴診器の力で“あの日”へ戻った患者達の人生は、どんな結末を迎えるのか。夢、家族、結婚、友情。共感の嵐を呼んだヒューマンドラマ。

続編の『希望病棟』については、

神田川病院に赴任した女医の黒田摩周湖は、二人の末期癌の女性患者をみている。先輩のルミ子に促され、中庭で拾った聴診器を使うと患者の“心の声”が聞こえてきた。児童養護施設で育った桜子と代議士の妻で“従順な妻”として我慢を強いられてきた貴子の二人です。摩周湖の勧めで治験を受けた二人は快方に向かい、生き直すチャンスを得る。共感の嵐を呼んだヒューマン・ドラマ。 

この2冊とも人の気持ちが分らないと言われる女性医師が、不思議な聴診器を拾うところから話が始まります。

『2人にひとりがんになり、3人にひとりがんで死ぬ。』と言われる昨今ですが、ここで担当する患者は、末期がん患者で、余命数か月と宣告されています。がん細胞は増加して体は弱ってきますが、頭はしっかりしています。人生の終焉を意識して人生を振り返り、後悔で押しつぶされそうになっています。

そんな患者を担当する医師は頼りなく見えて、「担当医を変えて。」と言われます。

山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』これは、孫活で読んだ本ですが、今回の2冊に通じることがあります。「(患者と患者家族の)どんなふうに育ってきたのかといった背景を知っていれば・・・もっと優しい言葉をかけてあげられるはず。」(成田教授)の言葉です。「病を診るのではなく、人を観る」これは、(山中教授)の言葉です。

今回の小説の二人の医師は、本当は患者の気持ちが他の医師よりも分っているのです。ただ、コミュニケーション能力が低く、表現の仕方が言葉足らずなんです。これは、育ち方による自己肯定感の低さからきているんですね。(山中教授と成田教授の)この本で納得し、いかに家族の距離感が大切かを再認識しました。レジリエンス(ピンチを乗り越える力)が大切ともお話されています。

女医が、聴診器の力を借りて患者の心に寄り添うことで、患者は後悔を克服して心穏やかになります。女医も自己肯定感とレジリエンスを身に着けて、「担当医にしてください。」と言われるほど成長します。

また、死が迫っていた末期がんから奇跡的に良くなる患者もいます。生き直しの時間を与えられた彼らは、「今まで、会社人間だったけど、もっと家族や周りに愛情を持って接すれば良かった。」「周りに気を遣って、自分を抑えてきたけど、変わりたい。」等と考えます。

育ってきた環境によって、今の自分が作られたのは確かですが、自分の人生は自分のもの。自分はどうしたいか、これからどうなりたいかを優先し、行動することは大切です。

某保険のCMで「私はがんになって良かったと思ってるんですよ。」と言っている方がいますよね。人生に終わりがあることを意識したからこそ、人生の見直しをして、自分らしく充実した人生を送るようになったのですね。自分も他人も信じ、自分のために生き、人のために尽くす生き方を始めます。

「死ぬ時に後悔しない人生を送ろう。」とよく言われます。誰でもいつ何が起こるか分りません。普段から、自分に正直に後悔のない生き方を心掛けたいものですね。

次回も垣谷美雨さんの小説について発信していきますので、是非ご覧ください。

代理母、はじめました -社会格差と不妊治療

さくら終活の大西です。

このところ、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。この小説では、「20年後にはそんな社会になるの?」とびっくり仰天です。

今回は、『代理母、はじめました』についてお話いたします。

内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

独身のまま子供が欲しい、もう不妊治療をやめたい、五十を過ぎたら、家族は持てない?…貧困と虐待から脱するため、少女ユキが始めたのは“代理母ビジネス”。葛藤と不合理だらけの“命”の現場で、医師の芽衣子やゲイのミチオとタッグを組み、女たちの自由を求めて立ち上がる―!不妊、高齢、独身、ゲイ―もう“タブー”だなんて言ってられない。「子を抱きたい」人々と女たちが手をつなぐ出産革命小説。

とあります。

不妊治療は精神的にも肉体的にも辛いと聞きます。 不妊治療の現状はどうなっているでしょうか?

不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック 厚生労働省より2017年に日本では56,617人が生殖補助医療により誕生しており、これは全出生児童(946,065人)の6%にあたり、約16,7人にひとりの割合になります。

2022年4月より、人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精、顕微授精等の「生殖補助医療」が保険適用されることとなり、経済的な負担が軽減されるので、朗報ですね。

次に、社会の格差について。下のグラフ左は、所得金額階級別世帯数の相対度数分布、右は貯蓄現在高階級別世帯分布です。両方とも、グラフの左側が金額が少なく、右にいくほど高くなっています。左側の所得金額のグラフをみると、「200~300万円未満」が 13,6%、「300~400万円未満」が 12,8%と多くなっています。中央値は 437万円であり、平均所得金額(552万3千円)以下の割合は 61,1%となっています。

右のグラフの貯蓄現在高 https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2020_gai2.pdf で、
二人以上の世帯について貯蓄現在高階級別の世帯分布をみると,貯蓄現在高の平均値(1791万円)を下回る世帯が67.2%(前年67.9%)と約3分の2を占めており,貯蓄現在高の低い階級に偏った分布となっているのがお分かりいただけます。

超有効な少子化対策が取られないために、少子高齢化はどんどん進みます。高齢者は老後の不安があってお金を使いません。若者は雇用形態も不安定でお金がなくて経済は回りません。格差社会はどんどん広がります。「少子化対策がきちっと機能すれば、経済も社会保障も全て解決する。」と言う政治家もいますが、このままで日本は大丈夫なんだろうかと心配になります。この小説は、2040年の社会で、少子高齢化はもちろん、地震や噴火の影響も出てすごい格差が広がっています。

代理母とは

代理出産は、子どもを望む女性が自分の子宮を使って妊娠・出産できない場合、夫と妻(又は卵子ドナー)との受精卵を第三者の女性である代理母の子宮に移植し、出産を依頼することで子どもを授かる方法です。日本では法律に基づく規制はありませんが、(平成15年)社団法人 日本産科婦人科学会の会告により、「生殖補助医療への関与、また代理出産への斡旋を行ってはならない」という見解を受けて行う事ができません。

この主人公ユキは、自分を含む貧困にあえぐ女たちと子どもが欲しい人を助けたいと考え、法律・規則を調べて代理母システムを始めました。

近江商人の心得に、三方良しという言葉があります。goo辞書によると、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるということ とあります。なんの仕事でも三方良しでないといけません。

さて、ユキはどんな三方良しで社会貢献をしたでしょうか。皆さんも読んでみてくださいね。

次回も垣谷美雨さんの著書について発信しますので、是非ご覧ください。

四十歳、未婚出産 ー高齢者優遇から子ども優遇へ

さくら終活の大西です。

このところ、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。今回は、「そういう差別的なこといわれるよね~。」「この後どうなっていくのかな?」と興味津々の『四十歳、未婚出産』についてお話いたします。

内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

言うのか、言わないのか。産むのか、産まないのか。40歳を目の前にして思わぬ妊娠に揺れる、旅行代理店勤務の優子。お腹の子の父親である28歳のイケメン部下、頭の古い田舎の母親、妊婦を「腹ボテ」と言うパワハラ上司、不妊治療に悩む同僚、若さを誇る美人女子社員…。お腹はどんどん大きくなるけれど、本当のことはなかなか言えない。このままシングルマザーになって、やっていけるのか!?  とあります。

出生数、合計特殊出生率について

出生数は第二次ベビーブームを過ぎると年々減少しています。2019年の出生数が90万人を初めて割り込み、86万5,234人となり、「86万ショック」と呼ばれましたが、コロナ禍もあり、2020年生まれの赤ちゃんは84万832人。2021年は81万1604人とどんどん減少しています。

合計特殊出生率は、一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子どもの数の平均です。2005年に過去最低の1,289でした。その後、少子化対策が功を奏して持ち直していましたが、2020年は1,34、2021年には1,30になりました。

一方、21年の死亡数は145万2289人で、我が国の人口はどんどん減少しています。

産休育休について

労働基準法で、産前休暇は出産予定日の6週間前から、産後休暇は出産の翌日から8週間まで取れると決まっています。また双子など多胎妊娠の場合は、予定日の14週間前から産前産休を取得できます。
育児休暇は、女性は産後休暇が終わった翌日から子どもが1歳になる誕生日の前日まで取得できます。男性は、子どもが生まれた日から1歳の誕生日前日まで取得できます。
また保育園の空きがなかったり、配偶者の死亡・ケガ・病気などの理由がある場合は、育休は最長子どもが2歳になるまで延長することもできます。

厚生労働省の「令和2年度雇用均等基本調査」で、女性の育児休暇取得率は81.6%、男性は12.65%となっていますが、この小説の様なパワハラ・マタハラなど頭の古い上司は困ったものですね。

保育園事情

「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名のブログが話題になってから5年あまり過ぎました。この表からお分かりのように、待機児童は減少傾向にあるとは言え、保活でご苦労されている話を耳にしています。

今コロナ禍で、親御さんや周りの人の助けなしに子育てに奮闘していらっしゃる方も多いと思います。子どもは可愛いけれど、命を育むのは相当大変です。  

話は変わりますが、以前、老人マル優といって65歳以上対象に元本350万円まで預貯金の利子に対する利子税の非課税制度がありましたが、2005年末、高齢化率20,2%の時点で廃止になりました。それまでは、高齢者は優遇すべき存在でしたが、今や高齢化率28,8%で、2025年には30%を超えそうで3人にひとりは高齢者になります。

一方14歳までの子どもの率は、12%弱にまで下がっています。こんなに少子化が進んで、子どもたちが本当に少なくなっている現状で,今や優遇すべきは次代を担う子どもたちですよね。

昔は、子どもが多くて、子育てはどこでも見られました。今はあまり目にしないから、手探りの育児になって大変です。今後は、産休育休は当たり前で、復帰後は「将来を明るくしてくれてありがとう。」と、皆が感謝してくれる世になり、多様な生き方を認め、家族や周りを始め、社会全体で子育てを支える社会が望まれますね。

さて、この小説の優子さんはどんなお母さんになっているでしょうか?皆さんも読んでみてくださいね。次回も垣谷美雨さんの著書について発信しますので、是非ご覧ください。

もう別れてもいいですか ―離婚後の年金は?

こんにちは さくら終活の大西です。

この頃、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そんなこと言われるよね。」と共感しきりなんですが、今回は、「がんばれ!そんなに悩むな。」と応援しながら読みました。

今回はこれ、『もう別れてもいいですか』についてお話いたします。

内容は、(出版社の内容紹介より)ご紹介します。

58歳の主婦・澄子は、横暴な夫・孝男との生活に苦しんでいた。田舎の狭いコミュニティ、ギスギスした友人グループ、モラハラ夫に従うしかない澄子を変えたのは、離婚して自分らしく生きる元同級生との再会だった。勇気を振り絞って離婚を決意するも、財産分与の難航、経済力の不安、娘夫婦の不和など、困難が山積。澄子は人生を取り戻せるのか?平凡な主婦による不屈の離婚達成物語  とあります。

この小説では、暴力なし浮気なしキャバクラ通いはするが生活費は出す。ただ、モラハラが嫌で性格の不一致が別れたい原因です。友人からは、「今まで我慢したのにそれだけなら我慢した方が良い。」と言われて悶々としています。でも、モラハラで近くに居ると息がちゃんとできないほどの夫現病は、許容範囲を超えています。

実際の我が国の離婚理由はどうなっているでしょうか。厚生労働省のHPから、離婚の申し立ての動機別割合です。資料が平成10年と古いですが、性格が合わないという理由が飛びぬけて多いです。澄子さんには安心してほしいですね。

澄子は、「離婚したい。でも、お金がないー。離婚したい。でも、お金がないー。離婚したい。でも、お金がないー。」 漠然と同じことを何度も何度も堂々巡りしています。

悶々とするだけでなく、一歩踏み出して具体的に考えてみましょう。自分にとって、最重要は何でしょうか。子どもたちは成人して独立しているので考えなくて良い。モラハラ夫はご主人さまで、妻は奴隷。これが現状。この先の人生約30年あまり。夫が要介護状態になったら、どうする。自分が要介護状態になったらどうしてくれるだろう。この先、約30年我慢できるのか。我慢できるなら我慢して、友人と同じく夫が早死にすることを祈っていれば良いでしょう。

それが無理なら、お金がないのが問題なのだから、具体的にマネープランを考えてみましょう。自分ひとりの生活費はいくら必要か。 どこに住むか。それにより住居費はいくらか。 ③仕事はいつまでするか。今の仕事を続けるか。 ④財産分与はどうするか。離婚するのか、夫が退職金を受け取ってそれも分与の対象にするか。(退職金離婚も多いですよね。)また、 ⑤年金はいくらか。遺族年金になるとどうか。年金を増やすにはどうするか。などなど、考えることはいっぱいあるので、書き出して整理してみると良いでしょう。

さて、老後の頼りの年金ですが、

公的年金のしくみや平均受給額については、『うちの子が結婚しないので』http://sakurasyukatsu.moo.jp/2022/05/14/%e3%81%86%e3%81%a1%e3%81%ae%e5%ad%90%e3%81%8c%e7%b5%90%e5%a9%9a%e3%81%97%e3%81%aa%e3%81%84%e3%81%ae%e3%81%a7%e2%80%95%e8%80%81%e5%be%8c%e3%81%ae%e5%bf%83%e9%85%8d%e3%80%80%e5%b9%b4%e9%87%91%e3%81%ae/ で説明していますので、ご覧ください。

まず、夫婦の年金受給ですが、妻が夫よりも5歳年下で、夫の方が厚生年金が多い場合の例です。

夫婦それぞれが、1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金をご自分の年金として受け取ります。いずれは、ひとりになりますが、ここでは夫が先に亡くなった場合です。

遺族年金の受給方法は3種類あります。そのうち一番多い受取り方で説明します。夫の厚生年金の3/4より妻の厚生年金の方が少なければ差額が遺族厚生年金として上乗せになります。年金相談で、「遺族年金はいくらもらえますか?」という相談が最も多いですが、厚生年金の差額が増えるだけで、国民年金は妻自身のを引き続き受給しますので、思うほど増えなかったという方が多いです。夫の厚生年金の3/4と妻の厚生年金額が同じか妻の方が多ければ増えません。

そして、単身生活となるサードライフの生活費は、二人の時の約70%が目安です。

そして、遺族年金の次に質問の多い離婚分割についてです。下の図のように合意分割と3号分割の2種類があります。いずれも離婚から2年以内までの手続きとなります。

合意分割は、当事者の一方からの請求で当事者双方の合意、合意に至らなければ、調停・裁判手続により按分割合を定めます。平成19年4月1日以後に離婚等をした場合で、婚姻期間中の二人分の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を足して当事者間で決めた按分割合により、分割します。

3号分割は、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求で、第2号被保険者の厚生年金が、当然に1/2に分割されます。平成20年5月1日以後に離婚等した場合で、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割します。

一旦分割すると元には戻せません。

簡単にいうと、国民年金は、自分自身ので、厚生年金は、遺族年金だと3/4で、離婚分割だと最高でも二人分合計の1/2です。

人生は修行だとか、結婚生活継続の秘訣は忍耐だとか言われますが、いろんなケースがあります。

夫婦を始め、どの人間関係でも、人という字の様に互いが対等に支え合っている感じが理想ですよね。入るという字の様に片方が下から支え続けるのでは重すぎて、いずれ倒れてしまいます。

ある俳優の妻が、ずっと 「あなたの夢を応援するのが私の幸せ」と言っていたのに、70歳過ぎて「私の人生返して」と言ったとか。

子どもの人生は子どものもの 配偶者の人生は配偶者のもの 自分の人生は自分のもの

自分のことは基本的に自分でできるようにするのがお互いのためです。要望はその都度言い方を考えて言いましょう。時にはブチ切れても良いのです。

さて、この『もう別れてもいいですか』では、どんな解決になったでしょうか。皆さんも読んでみてくださいね。次回も垣谷美雨さんの著書について発信しますので、是非ご覧ください。

うちの子が結婚しないので―老後の心配 年金の仕組み 

―老後の心配 年金の仕組み

このところ、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。我が家もそうなのよ。」と共感しきりです。

今回は、『うちの子が結婚しないので』についてお話いたします。

内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

老後の準備を考え始めた千賀子は、ふと一人娘の将来が心配になる。 28歳独身、彼氏の気配なし。自分たち親の死後、娘こそ孤独な老後を送るんじゃ……? 不安を抱えた千賀子は、親同士が子供の代わりに見合いをする「親婚活」を知り参加することに。しかし嫁を家政婦扱いする年配の親、家の格の差で見下すセレブ親など、現実は厳しい。果たして娘の良縁は見つかるか。親婚活サバイバル小説!

この本を読んで一番思ったことは、『こんなに親が頑張らないといけないの?』ということです。そう言えば、ほんの2~30年前には仲人さんが居て、「あの人はどう?」「この人合うと思うよ。」とか、言葉は悪いけど、うるさいくらいお世話してくださいました。今は婚活アプリとか婚活パーティなどいろいろあるにはあるのでしょうが、実態はどうでしょうか?

生涯未婚率(50歳まで未婚)は、50歳時の未婚割合1をみると、1970(昭和45)年は、男性1.7%、女性3.3%でした。その後、男性は一貫して上昇する一方、女性は1990(平成2)年まで横ばいでしたが、以降上昇を続け、(2010(平成22)年国勢調査)では男性20.1%、女性10.6%、2015(平成27)年は男性23.4%、女性14.1%と、それぞれ上昇しています。2015年の国勢調査の結果に基づいて出された推計は、これまでの未婚化、晩婚化の流れが変わらなければ、今後も50歳時の未婚割合の上昇が続くと予測しています。

次は、令和3年版高齢社会白書から『高齢化の推移と将来推計』です。

1950年から2065年までを表しています。我が国の人口は、2010年をピークに減少しています。下からピンクとブルーが65歳以上で、赤が現役世代、14歳以下が黄緑です。ご覧いただくと現役世代と子供の減少が続くのがお分りいただけます。高齢化率は赤い折れ線で2020年は28,8%、2065年には、38,4%と推定されています。

年金制度の仕組みは厚生労働省年金局の資料から、ご覧のとおり、1階が国民年金これは20歳~60歳まで強制加入。2階が厚生年金。会社や役所勤めの人。3階は企業年金・個人年金です。

年金の平均受給額は、厚生労働省が発表する「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、 年金の平均受給額は、国民年金がおよそ5.6万円、厚生年金がおよそ14.4万円 です。

生命保険文化センターの令和元年度生活保障に関する調査によると、夫婦2人世帯の老後の生活費用の目安は、最低日常生活費が約22.1万円、ゆとりある老後生活費が約36.1万円、実際の老後生活費が約27.1万円(単身世帯は約15.2万円)となっています。

これらの調査結果から老後2千万円問題を指摘されているのです。

老後生活において、年金受給額は重要です。夫婦ふたりの年金だといくら。ご自身の年金はいくらと年金定期便などで把握しましょう。マネープランもしっかりと立てておく必要があります。

私が20代の始め、もう40年昔のこと、こちらは田舎なので、「24歳女性はクリスマスケーキと言われ、25歳を過ぎると売れ残り。」と言われました。今そんなことを言うととんでもないことになりますが。今では結婚だけが人生でなく、いろいろ多様な生き方が認められるようになりました。人生は修行だとも言われます。今が楽しければ良いというだけではなく、ずっと幸せのために、ライフプラン・マネープランをしっかりと立てて、幸せな人生を送りましょうね。

さて、この小説の千賀子さんの娘さんは良縁に恵まれたでしょうか?皆さんも読んでみてくださいね。次回も垣谷美雨さんの著書について発信しますので、是非ご覧ください。

70歳死亡法案、可決 ーどうなる?社会保障

こんにちは さくら終活の大西です。

この頃、垣谷美雨(カキヤミウ)さんにはまっています。垣谷美雨さんは1959年生まれの女性で、私と同世代。著書のテーマは、政治・貧困・ジェンダー・妊活・婚活・終活等と多岐に渡ります。どの小説を読んでも「そうそう。そんなこと言われる。そういう見方もあるのね。」と共感しきりです。

今回は、『70歳死亡法案、可決』についてお話いたします。

小説とは言え、あり得ない法案ですよね。むかしむかし姥捨て山があったそうな。という昔話はありますけどね。私の周りの70歳といえば、すごくパワフルですよ。かくいう私も残り8年です。

内容は(「BOOK」データベースより)ご紹介します。

高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、宝田東洋子は喜びを噛み締めていた。我侭放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘とみな勝手ばかり。やっとお義母さんが死んでくれる。東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて…。すぐそこに迫る現実を描く衝撃作!                           とあります。

衝撃的なタイトルですが、この小説のテーマは、長男の嫁ひとりにのしかかる家事、介護・周りの無理解・感謝のなさを始め、ひきこもり・ブラック企業等と社会問題満載です。

まず我が国の高齢化の現状について少し説明します。

こちらは、人口ピラミッドです。この表の下側が0歳、上が100歳。横軸が人数です。生き物の正常なピラミッドは0歳が最多で上にいくほど減少するものですが、我が国では少子高齢化が進んでいます。この図では、1990年、2013年、2025年、2060年とこのように変化していきます。

平均寿命は、男性81,64年、女性87,74年。健康寿命、男性は、72,68歳、女性75,38歳。健康上の問題で日常生活に制限がある年数は、男性8,96年、女性12,36年となっています。この期間が全部要介護状態とは限りませんが、人生の集大成の時期には不具合を抱えて過ごすことになりそうです。

そして、100歳を超えた方の人口は、86,510人となっています。みんな健康長寿なら良いですけどね。

令和3年版高齢社会白書によると高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は28,8%です。

こちらは、1950年~2016年までの社会保障給付費の推移グラフです。年金・医療費・介護費等、社会保障給付費は年々増加して、財政を圧迫しているのは、隠しようのない事実です。男性の平均寿命1950の59.57 から2016の80.98,女性も同じく62.97から87.14と66年間で20年以上伸長したので、当然と言えるでしょう。

2025年には、団塊世代がみんな75歳の後期高齢者になり、益々社会保障費は増加します。国はそれを抑えるために、入院病床を減らしたり、在宅での医療介護を進めたりしています。

介護を表す言葉で、老々介護・認々介護・介護死傷事件・ヤングケアラー・介護離職・介護別居・介護離婚等、どれもマイナスイメージがありますね。皆が、ハッピー介護とか笑顔介護になれば良いですよね。

人口体系は変わっても、人々の意識はなかなか変わっていないのが現状で、介護する立場の時、真面目で優しい人は、口は出すけど手も金も出さない人に利用される。みんなから押し付けられて疲弊し、ある日突然爆発する。そんな場面を多々見てきました。この主人公も爆発して、やっと周りが大変さを理解したのでした。介護者は、ひとりで抱え込まずに、介護サービスを上手に利用して、周りの人々を上手に巻き込んでうまく対応する方法を取りたいものです。

そして、我々全員が、健康寿命を延ばすために、食生活に注意して、適度な運動・良質な睡眠をとる等、生活を見直したいものです。

人間誰しもこの世に生まれてきたら、必ずゴールはやってきます。笑顔と健康を第一に、ゴールに向けて人生に悔いなく、思い残すことなく、今日やれることは今日して、子どもや孫世代により良い社会を残せるように生きて旅立ちたいなと改めて思いました。

さて、70歳死亡法案 どうなったでしょうか?皆さんも読んでみてくださいね。

次回も垣谷美雨(カキヤミウ)さんに著書について発信しますので、是非ご覧ください。