私は、父の見送りから、命の尊厳を守るため、いろんな方の体験を組み合わせて延命治療の説明絵本「桜のようにいきたい」を作成し、延命治療についてお話をしています。
主人公のよしこおばあちゃんは、ずっと元気だったけれど、95歳で老衰状態になって、ご家族の意向で胃ろうを施され、意識もなく手足が拘縮して103歳で旅立ちました。 よしこおばあちゃんの家族は、
「私たちの望む尊厳のあるゴールを迎えるためには、あらかじめ、意思表示をしておくことが必要ね。」と、話し合いました。
今回は、その意思表示方法についてお話します。
意思表示を書面にした方が良いと思っている方が多数いらっしゃいます。でも、「その書面にはどう書いたら良いか分からない。」という方が多いのも事実です。そこで、誰でも簡単に書面にできる『延命治療意思表示カード』を作成しました。健康保険証と同じ大きさにしたので、一緒に携帯することができ、周りの人や医療関係者にも自分の気持ちを理解してもらえます。
これが、延命治療意思表示カードです。 これには、 ~私の心からの願いです~
人としての尊厳が、最期まで保てることを強く希望します。
したがって、自立した生活ができるまでの回復がかなわない状態となった場合、私自身のみならず、まわりの人々の苦しむ時間をも引き延ばすだけの裏面の延命治療を受けることは拒否します。 万が一装着された場合ははずしてください。 ただし、痛みを取り除く処置については、そのために寿命が短くなることがあろうとも、受けることを要望します。 と、記してあります。
この表面の意思表示の日付欄は、意思表示する日付を記入します。ご本人の住所、氏名欄は、本人自筆。
ご家族氏名欄は、本人の気持ちを理解したご家族がご記入ください。健康保険被保険者証番号をご記入の上、健康保険被保険者証と共にお持ちください。
全部記入が難しいようなら、日付と本人署名だけでも気持ちは伝わります。
裏面には、延命治療になりうる治療名を載せています。
(その治療名は説明絵本『桜のようにいきたい』でご確認ください。)
拒否する治療には、×印を付してください。その他の拒否したい治療名は、その他欄に記入してください。
このカードは、実用新案取得済です。
現在、この意思表示カードに法的根拠はありませんので、 必ずそのとおりにしていただけるとは限りませんが、意思をきちんと表示しておくことで、本人の意思を周囲の方に理解していただくことができ、主張もしやすくなります。 意思表示をした上で、お元気なうちから、ご家族・ご親族としっかりと命の話し合いをされることをお勧めします。
そして、もう一枚こちらの病歴・服用薬カードも作成しました。
病歴カード作成理由は、初診時や入院時、病歴を聞かれます。ご自身で説明できる場合は良いのですが、事故や病状や心身の状態により、説明できない場合もあります。 ご家族の入院時に聞かれて、本人の病歴が判らず、困った経験がおありの方も多いのではないでしょうか。 何歳の時、何の病気・けがをしたと記入しておくと、一目瞭然です。
服用薬カードの作成理由は、緊急時、保険証はお持ちでも、お薬手帳まではということもあります。
病名は判ってもお薬名が判らないこともあります。昨今の異常気象等、いつ何が起こるか判りません。病院の個人データがいつもあるとは言えません。ご自分の命はご自分で守るため、記入しましょう。
病歴・服用薬をご記入の上、健康保険被保険者証と合わせてお持ちになると良いと思います。
服用薬は、変わることもあります。鉛筆等で記入されると、後で書き換えることができます。
『桜のようにいきたい』2種類のカード付 は、
さくら終活事務所HPさくら終活 (peraichi.com)からご注文いただけます。ご利用くださいませ。
願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ 西行法師
西行法師は、ご自身が好きな桜の花の下でお釈迦様と同じ日に逝きたいと詠んで、そのとおりになったとされています。
ご自分の最期の時期を思い通りにするのは難しいとしても人生のゴールテープの切り方を考え、そこに向けて今をどう生きるかを考えることはできます。
最期に「あー良い人生だった。」と満足して、ご自身の望む尊厳のある旅立ちができるよう、みなさまの幸せを願っています。
桜のように生きたい 桜のように逝きたい